三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷とTFCCの機能

手関節の尺側には三角線維軟骨複合体とよばれる、軟骨と靭帯などで手根骨と尺骨を結合して安定化させるクッションの役割を担う組織があります。

日本名が難しいのでTFCCと呼ばれることが多い部位になります。

グリップ動作を伴うテニスや野球などのスポーツにおいては高頻度で発症する障害です。
手関節の尺側に対して頻回に圧縮や牽引、剪断力が加わることによって生じる慢性外傷が多いとされ、ラケットスポーツなどにおいては未熟なグリップ動作がこの損傷を招くことになるとも報告されています。

また、手関節の捻挫の後などに3週間~4週間経って捻挫が治る時期になっても手関節の尺側部に痛みが残り、手関節を動かすと痛みが走る場合、しばしばこの損傷が原因になっていることがあります。

この部位はレントゲン検査では異常を認めないため、痛みと圧痛部位と発症前後のケガなどから判断していきますが、場合によっては手関節を内視鏡検査して調べていくことになります。

TFCCの構成要素としては、三角線維軟骨、尺側側副靭帯、掌背側の遠位橈尺関節靭帯、関節円板類似体、尺側手根伸筋腱の腱鞘で構成されます。

TFCCの主な機能を考えていくと、一番大きな働きとしてあげられるのが遠位橈尺関節の安定性の維持になります。
遠位橈尺関節の運動は、単純な回旋運動だけでなく並進運動の成分も含まれ、これをTFCC、骨間膜、方形回内筋で維持していると考えられています。

また、橈骨手根関節の尺側側の支持機構としても働き、尺側手根伸筋腱の腱鞘は手根骨と尺骨を結ぶ強靭な繊維となり、手関節の安定性に寄与しています。

またTFCCは手関節安定性の維持の他にも、手関節における力学的伝導を調節する働きを担っているとも考えられます。
関節軟骨と剛性の異なるTFCCが手根骨尺骨間に存在することによって、橈骨手根関節とはまた違った力学的伝導が行われることになります。
手術などでTFCCの機能に変化が起こるとそれにともなって力の伝達も変化することがわかっています。

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-22

    リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

    リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮しま…
  2. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  3. 2017-8-11

    アフォーダンスとカノニカルニューロン

    随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化したものであり、「目的」はそれを達成するための筋道を決…
  4. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  5. 2017-7-18

    クレンチング(食いしばり)と運動の関係

    クレンチングとは、無意識的に上下の歯を強く噛みしめる動作をいいます。習慣化されたものはブラキ…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2017-2-7

    筋肉トレーニングをスポーツで活かすために

    スポーツのパフォーマンスをアップするためには、スポーツの動きを再現した専門的トレーニングを行っていく…
  2. 2015-8-4

    筋・筋膜痛について

    筋痛には、運動に伴う筋痛や、反射性筋収縮による筋痛、筋筋膜性疼痛症候群、線維性筋痛症候群、緊張による…
  3. 2016-2-15

    臼蓋形成不全と肢位の関係

    股関節を横走する関節周囲筋は、股関節の安定性にとって重要です。実際には、股関節の適合を高める…
  4. 2015-11-25

    睡眠不足と肥満

    睡眠が不足していると、理性や判断力を司っている前頭葉の活動が低下し、食べる意欲を司る脳領域の活動が高…
  5. 2015-5-19

    かつおぶしに注目!!

    近年では、ダイエットのための低脂肪食品や高栄養価の食品などさまざまな食品が作られています。そ…
ページ上部へ戻る