炎症にかかわる細胞

ヒトは常にさまざまな外界の刺激にさらされており、その刺激に対して健康な状態を維持するため多くの仕組みで防御します。

炎症とはその生体防御反応の主要なものです。

炎症の諸症状は文字通り、「炎」の性質そのものです。

古代ローマの医師ケルススは、炎症の4徴候として発赤、腫脹、発熱、疼痛をあげ、のちにガレヌスが機能障害を加え、炎症の5徴候としました。

赤く、熱く、手をかざせば痛い炎の連想から炎症、特に急性炎症の徴候を的確に表現したもので、現代でも十分通用する普遍性をもちます。

炎症性の疾患は誰でもいつでも罹患しうる一般的な病気です。

体中のどの臓器や組織でも、そのあとに「炎」をつければ、たいていは実際の病名になるでしょう。

皮膚炎、肝炎、肺炎、胃炎など例をあげればキリがありません。

また、それだけでなく、骨折などの外傷や胃潰瘍など、さまざまな疾患の主要な病態であったり、癌などの炎症以外の主病態に随伴することもしばしばです。

炎症にはさまざま細胞がかかわりますが、とりわけ白血球が重要な役割を果たします。

白血球はおおまかに、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、単球、リンパ球に分類され、それらは骨髄、リンパ節、胸腺、脾臓などの造血臓器により供給されます。

また、組織間葉系細胞である血管内皮細胞や線維芽細胞も炎症の修復になくてはならない細胞です。

好中球は、急性炎症の中心的な細胞で、組織傷害の局所に最初に遊走し、侵入物の種類を問わずして貪食して消化します。

好酸球・好塩基球は、好中球に似ていますが、数は多くありません。

好酸球はアレルギー性疾患や寄生中による炎症でよくみられ、好塩基球は気管支喘息などの即時型アレルギーの炎症に関わっています。

単球・マクロファージは好中球よりあとに出現し、主に死んだ細胞、微生物などの残骸を貪食して炎症の場を清掃する役割の細胞です。

また、各種サイトカインを分泌して炎症の過程を進めます。

なお、血中の単球が組織に移行してマクロファージになりますが、もともと組織内に存在するマクロファージもあります。

リンパ球は、一般に慢性炎症に多く見られる細胞であり、以前に感染したことのある微生物などを記憶していて、それが再び侵入してきたときに特異的に反応してそれらを撃退します。

また、サイトカインの分泌により他の炎症細胞を活性化するなど、さまざまな局面で多様な役割を果たします。

血管内皮細胞は修復の段階で、炎症により欠損した組織を埋める肉芽組織の主要な構成細胞です。

線維芽細胞もやはり、肉芽組織の一要素として出現し、膠原線維を産生して、やがて線維瘢痕組織を形成します。

炎症時にはこれらの細胞や体液性因子が働き、その経時的変化を生み出します。

 

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