アスリートに特有な遺伝子は存在するか

スポーツの世界では、有名選手とその子どもも活躍していることがたくさんあります。

ということは、そういった選手たちに特異的に発現している遺伝子があるのではないかと考えることができます。

実際、筋肉の質という観点からすると、α−アクチニンというタンパク質を作り出すACTNという遺伝子がそれに近いものではないかと言われています。

筋中のタンパク質といえば、アクチンやミオシンといった収縮タンパク質が思い浮かびますが、それだけでは、筋肉は上手く作用しません。

そこにトロポニンやトロポミオシン、そしてα−アクチニンなどの役割の違う調節タンパク質が必要になります。

α−アクチニンは、アクチンを支える働きを持つ調節タンパク質の1種で、骨格筋には、α−アクチニン2とα−アクチニン3の2種類があります。

このうち、α−アクチニン3は、骨格筋のうち、瞬発力をもたらす速筋線維の細胞内で多く作られるため、とりわけ瞬発力を要求される運動能力に重要であると考えられています。

ある研究では、全世界で10億人ほどがこのα−アクチニン3の働きを失っていると推定されています。

α−アクチニン3の577番目のアミノ酸残基アルギニンをコードするコドンが、終止コドン、すなわちどのアミノ酸もコードしないコドンに変化しているために、タンパク質の合成がそこでストップし、完全なα−アクチニン3タンパク質が作られないのです。

これまでの調査では、いわゆるトップアスリートとよばれるスポーツ選手では、そうした欠失したα−アクチニン3しか作れない人の割合が対照群に比べて低く、両親由来の2つの遺伝子が完全なα−アクチニン3を作れるタイプである割合が高いという報告があります。

すべてのトップアスリートがそうであるとは言えませんが、こうした疫学的調査から、トップアスリートとα−アクチニン3タンパク質には、ある程度関係が有るといえることができます。

とはいえ、すべてのアスリートがそうであるとは言えませんし、これらの遺伝子が正常であるから必ずアスリートになれると断言することはできません。

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