臼蓋上腕関節における重要な動的支持組織の連結

臼蓋上腕関節における重要な動的支持組織である腱板は、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋により構成されています。
これら諸筋群は骨頭の支点形成力の力源となり、常にその活動が要求される筋群であって腱板の上腕骨停止部は、大結節および小結節とされ、これは広く一般に認識されています。
また、人体における関節包と筋肉との結合関係については、肘関節前方関節包と上腕筋、膝関節膝蓋上包と膝関節筋、膝関節後方関節包と半膜様筋等、いくつかの報告が見られます。

棘下筋と後方関節包との結合様式については、棘下筋関節包側の線維が関節包に付着する所見は肩すべてに於いて認められず、疎性結合組織によって後方関節包と棘下筋が全体的に結合していることが報告されています。
この結合強度は決して強靱なものではなく、容易に棘下筋と後方関節包とを区別できるものであるとされています。

ここから、さらに停止部へと展開すると、棘下筋の表層からの大部分の筋線維は大結節の後方へと停止することになりますが、関節包側の筋線維は大結節のすぐ後方の関節包に密に結合して、分離することは出来ないくらい強固につながっています。
一方、小円筋と後方関節包との結合様式は、関節包後内側部では棘下筋と同様、疎性結合組織によって結合していることが報告されています。
しかし停止部を見ていくと、筋線維が直接関節包に付着し、その部位は腋窩陥凹後方から関節包後下方へ比較的広範囲で結合しているとことが報告されています。

各関節包と筋肉の関係においては、膝蓋上包と膝関節筋、膝関節後方関節包と半膜様筋の線維連絡が一般に認識されています。
この関節包と筋線維問の連結は、機能解剖学的に関節運動に伴い弛緩してくる関節包を筋収縮力により引き出し、関節内での挟み込みを防止する重要な機能の一つと考えられています。
この様な合理的な構造は膝関節にのみ存在するものではなく、当然その他関節にも同様な連結様式の存在が示唆されています。

肩関節においては肩甲下筋と関節包との連絡を報告している他に棘下筋、小円筋については、腱による関節包への停止について報告しています。
棘下筋と関節包との間には直接の筋線維連絡は認められず、疎性結合組織により関節包を裏打ちするがごとく密着し、関節包後部の支持性 の強化に役立っているものと考えられています。

また、棘下筋の線維の大部分が大結節後方部へと停止していることから、収縮による張力は直接大結節へと作用し骨頭の支点形成に有効に 作用していると考えられています。
一方、小円筋と関節包とは棘下筋と同様、関節包の裹打ち的構造をなして結合する他に、停止部付近の筋線維が直接関節包に付着することがわかっています。
この部位は腋窩陥凹部にほぼ一致し、肩関節下垂位において常に弛緩する部位になると考えられています。
この所見より小円筋の関節包側の機能として、下垂位における肩関節外旋運動に伴って生じる可能性のある後下方部の関節包の挟み込みを、自身の収縮力でもって引き出し、円滑な運動を導いているのではないかと考えられています。
また肩関節挙上位においては、大結節に付着する線維が骨頭の支点形成に関わるとともに、関節包側の筋線維群は後下方の関節包に適度の 引っ張り張力を与え、その反作用により関節包自身の静的支持機構をより強化しているのではと考えられています。

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