生命の成り立ちと自己組織化

「自己組織化」とは非常に壮大なテーマといわれています。
自己組織化の定義を考えてみると「自己組織化とは、経験と環境の関数として基本構造が変化し、合目的的システムができあがること」と定義できるかと思います。

この自己組織化を身近なもので考えると、例えば人間は自己組織化システムそのものです。
だれもが一個の有精卵から次第に複雑な構造を発生させて行ったということがまさに「自己組織化」といえると思います。
もっとも、すべての生物は自己組織化システムであるし、太陽系も自己組織化システムだと言うことができるかも知れません。

すべての生命の成り立ちを追ってみると、単純な自己増殖機能を持ったタンパクからやがて細砲が作られ単細胞生物へ、さらに多細胞生物へ、さらに陸上へと進出し、火を発見し、文字を発明し、知的活動を行なうようになった実例が今の私たちであると考えられます。

このように生物は進化を遂げてきたと考えることはできますが、生物自身の知的活動をシミュレートするようになるまでには、多様なレベルでの自己組織化が行なわれて来たのではないかという推測の域を超えることはありません。

正直人工知能などで用いられる現代的な意味でのニューラルネットワークにおいては、上記のような意味での「自己組織化」は実現されていないのが現状です。
現在のニューラルネットワークにできることは、極論すれば、外界の統計的構造を獲得することができるということ。
もうすこし具体的にいえば、外部入力の統計的構造を内部のシナプス伝導効率の変化として表現することができる、ということです。

これが人口ニューラルネットワークの現在であることを考慮すると、ここから知的な活動を創発できることまでの間には大きな距離があることがわかります。
ですが、外界の情報すなわちデータの相互関係を効率良く表現することは情報科学の分野でも中心的な問題であり、おそらくこのような能力が脳の働きの特徴の1つであるということが言えます。

外界の構造が脳内の地図として表現されていることは一般に知られた事実です。
すなわち感覚器官と第一次感覚野との間の神経結合は、類似した刺激に対して皮質上の同じような位置に対応する受容野を持つことが知られています。
このような2 つの神経間の連続的な結合関係のことを「トポグラフィックマッピング」と呼んでいます。

このような構造は遺伝子によって決定されていることがわかっていますが、細かい構造については神経回路の自己組織化によって達成されるのではと考えられています。

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