運動スキルを獲得する際に経験する学習過程

運動スキルの複雑さやタイプは多様でありますが、種々の運動スキルを獲得する際に経験する学習過程は、ある程度共通したものとなります。

学習における3つの段階には認知、連合、自動の3段階があります。

認知段階とは、その運動を行うために何が必要なのかを明らかにしようとする段階です。
この段階ではかなりの認知活動が必要とされ、運動は比較的意識的に制御されます。
認知段階では、運動の目標に近づくためのもっとも有効な方法をみつけるためにさまざまな方法を試みることが多くなります。
また、多くの注意を費やして、個別の運動を着実に実行する傾向があります。
意識的な制御方略を使うため、その運動は遅く、スムーズさに欠け、非効率で、そのパフォーマンスには一貫性がありません。

一旦、基本的な運動パターンを獲得すると、第2の学習段階である連合段階が始まります。
この段階は、運動のより細かい調整をする段階です。
運動の結果の信頼性は高くなり、運動自体の整合性も試行ごとに高まっていきます。
そして、非効率的な筋の同時収縮は徐々に減少し、運動はより効率的となります。
加えて、運動の一部は自動化し、注意を他の部分に向けることができるようになります。
連合段階を継続していくと、自動段階に到達します。
この段階での運動は、流れるように行われ、努力を要しないように見えます。
この段階では、ほとんどミスがなく正確なだけではなく、非常に一貫性のある運動となります。
この段階での運動は、大部分が自動的に行われ、運動に注意を向ける必要はほとんどなくなります。
この3段階の流れで、運動のスキルを獲得していきます。
簡単にまとめるとこのような流れになります。

「認知段階」 意識的に制御する段階

「連合段階」 運動のより細かい調整をする段階

「自動段階」 運動に注意を向ける必要がなく自動的に行える段階
是非、トレーニング指導際にご活用下さい。

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-22

    リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

    リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮しま…
  2. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  3. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  4. 2017-7-6

    鼠径部痛と内転筋損傷と恥骨炎

    鼠径部痛はスポーツ選手がよく訴える痛みの1つです。これらの痛みを訴える選手は、内転筋群の過緊…
  5. 2017-6-24

    筋肥大とパフォーマンスのジレンマ

    アスリートの肉体改造は、高いパフォーマンス性を生み出しますが、時として「あれは失敗だった」と言われる…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2015-4-15

    間脳の解剖 前編

    間脳は大脳半球と中脳との間にある脳部です。背面は大脳半球に覆われているので、外からは見えませ…
  2. 2015-10-7

    グリア細胞について考える

    脳の神経系を組織学的にみると、一定の排列と連結をなすニューロンとその周囲を取り巻くグリア細胞からなり…
  3. 2015-7-16

    コリン作動性ニューロン

    アセチルコリン acetylcholine (Ach) を神経伝達物質とするニューロンをコリン作動性…
  4. 2015-11-21

    サラブレッドからみる栄養とトレーニング

    1998年、セイウンスカイという競走馬が4歳馬(現3歳)の頂点を決めるレースであるG1レースの皐月賞…
  5. 2015-2-25

    脳とコンピューターの処理の違い

    脳は、莫大な量の情報を絶えず処理しています。その大量の情報を脳はどうやって処理しているのでし…
ページ上部へ戻る