手根伸筋の過用によって起こる外側上顆痛

拳を軽く握った場合に、最も活動する手根伸筋は、短橈側手根伸筋です。

握力が増大するにつれて、尺側手根伸筋、すぐにつづいて長橈側手根伸筋が活動に加わります。

ハンマーを振ったり、テニスをしたりする場合などのように、反復して強い握力を必要とする活動では、手根の伸筋の近位付着部に応力がかかり、外側上顆痛、一般には「テニス肘」とよばれる有痛性の病態を引き起こす原因になります。

最大握力時には、筋に強い力が必要であることと、短橈側手根伸筋については外側上顆の筋付着部が比較的小さいことを考えると、この部位に対する応力は大きいと考えられます。

さらに短橈側手根伸筋の近位腱は、肘の屈曲および伸展時、上腕骨小頭の外側縁に接触するのが通常ですが、この接触が実際に筋の下面の摩耗を引き起こすことがあります。

この比較的よく報告される病態の症状には、受動的な手根屈曲や前腕回内時の疼痛、外側上顆の圧痛および握力低下があります。

従来の治療法には、スプリント装着、安静、筋のストレッチと運動、レーザー療法および超音波や氷冷、電気療法、イオン導入など特に炎症の軽減を目的としたさまざまな物理療法があります。

外側上顆痛の病態生理学は十分に明らかにされていませんが、この病態は比較的最近まで、応力がかかる手根伸筋、とくに短橈側手根伸筋の近位腱に実際に炎症が引き起こされていたことから外側上顆炎と呼ばれていました。

しかし最近報告された数件の研究で、病変が波及した健は炎症が認められず変性が認められることが報告されました。

従来、原発性炎症過程と考えられてきたものは、実際には変性によるものであり、加齢や血管病変および微小外傷にみられるものとほぼ同じであったと報告されています。

実際の病理学的過程にかかわらず、この問題の根本的な原因は、生体工学的なものであると考えられています。

外在手指屈筋の手根を屈曲しようとする強い力と平衡を取るために大きな応力が手根伸筋にかかることが有力であるとされています。

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