ピジン言語とクレオール化からみる言語の発達

ヒトを知るためには、様々な視点からアプローチをする必要があり、その始まりを知ることは非常に重要なものです。

したがって、赤ん坊や、ヒトがまだ生まれる前、すなわち胎児の頃からも知っておく必要があります。

誕生という点から言えば、人類が誕生したそのときからも知る意味があるでしょう。

人類がはじめて発した言葉はなにか、そして聞いた言葉はなにか、こういった疑問を調べるために、赤ん坊をずっと閉じ込めて観察した実験があります。

すると、赤ん坊1人だけでは言語は発達しませんが、2人で置いておくと、母国語は出てこなくても2人の赤ん坊の独特の聴覚コミュニケーションが形成されていくことが分かりました。

赤ちゃん同士が、言葉を話せないうちから向かい合って何やら会話のようなものをしているという光景を見ることがありますが、言葉を教えるということを全くしなくてもコミュニケーションを取る相手がいれば、なんらかの言語・聴覚コミュニケーションはある程度自立的に発達していくのです。

この元々備わっている機能はピジン言語・クレオールと関連があると言われています。

ピジン言語とは、お互いに共通の母国語を持たない者同士がコミュニケーションを取るために自然につくられる言語で、そのピジン言語を用いる者の子どもの世代がそれを第1言語すなわち母国語として話すようになることをクレオール化といいます。

例えば、外国人が話す怪しい日本語、日本人が話す怪しい英語、どちらも文法的には意味をなさず、これらもピジン言語であると言えます。

このピジン言語とクレオールの間には、言語の質の驚異的な進歩があり、世界各地のクレオールは偶然とは思えないほどの類似性をもつといわれています。

クレオール言語を話すようになった第1世代の子ども達の言語環境は、その親の不完全で不安定なピジン言語を母国語とするために、それらを飛躍的に複雑かつ高度化させる必要があり、それは現代の子どもたち、すなわち赤ん坊の頃からの急速な言語の発達と似たものであると考えられます。

したがって、親が話すから言語が発達するというだけではなく、そもそもヒトは、呼吸や歩行、手足の動かし方を特別学習する必要がないように、言語の発達も生得的に備わっているものだということになります。

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