運動時の循環血液量調節機構

運動中には、運動強度に応じて心拍出量は増し、かつ活動筋に大量に血液が流れるようにその部位の血管は拡張するようにプログラムされています。
心拍出量の調節は、主に自律神経(交感神経と副交感神経)を介して心臓に対して神経性に調節されるのに対して、活動筋での血管調節には、交感神経を介する血管収縮作用と神経活動に関与しない局所調節作用によって行われることになります。
特に神経性の循環調節作用である交感神経調節に着目すると、大きく分けて以下の 4つの制御系が考えられます。

①セントラルコマンド(大脳から直接に自律神経系を調節して循環調節をおこなう調節系)
②動脈圧受容器反射
③活動筋からの反射調節(筋代謝受容器、筋機械受容器)
④心肺圧受容器反射調節

動脈圧受容器反射は、血圧の変化を感知して自律神経を介して心拍出量と末梢血管抵抗を調節し、血圧を調節するというものです。
運動時には、運動強度に適した血圧値になるように心拍数や交感神経活動は調節されることになりますが、この動脈圧受容器反射による調節が大きく関与していると考えられています。

また筋代謝受容器反射は筋内に代謝産物が蓄積すると交感神経活動を増加させて血圧を上昇させ、活動筋への血流配分を増加させるという仕組みです。
「代謝産物の蓄積により活性化」するという特性から、高強度運動時の調節に関与すると考えられています。
したがって、高強度運動時には動脈圧受容器反射と筋代謝受容器反射がともに循環調節に大きく関与しているものと考えられています。

心肺圧受容器反射は、体液量の減少や末梢組織への血液プーリングなどにより、中心血液量が減少する場合に交感神経活動を増加させ末梢血管収縮を起こして動脈血圧の低下を防ぐように作用する仕組みです。
この仕組みは運動時においても、高温環境下での多量の発汗で体温上昇にともなう皮膚血管への血液の移動、あるいは姿勢変化などにより中心血液量が減少すれば交感神経活動を増加させると考えられています。

中心血液量の減少は、心拍出量を低下させ結果的に動脈血圧を低下させることから、このような状況においては動脈圧受容器反射と心肺圧受容器反射がともに動脈血圧の維持調節に重要な役割を果たしています。

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