随意運動は行動の意図を表現する

随意行動(voluntary behavior)とは、ある目標を達成するために環境へと働きかけようとする意図の物理的表現です。

たとえば、コーヒーを飲みたいと思ったとします。

それにはさまざまな理由が考えられます。

カフェインの刺激的な効果を楽しみたいのかもしれませんし、単に喉が渇いているのかもしれません。

その理由が何であれ、その行動の目標は、自らの動機的状態によって確立されるのですが、随意運動行動によって遂行されます。

つまり、運動システムは、その人の意図を行動へと変換しなくてはなりません。

人がどのようにして目標を達成するかは、自身がおかれた状況に依存します。

1杯のコーヒーがすでに用意され、目の前に置かれているのであれば、手を伸ばし、カップを手にとり、口へ運ぶだけで事が足ります。

しかし多くの場合、状況はより複雑です。

その場合、コーヒーへの欲求を満たすためには、コーヒーを飲むという目標を達成するために必要な一連の複雑な行動を計画し、遂行する必要があります。

そのためにコーヒーを買いに出かけても、喫茶店に行き注文してもいいですし、夜の遅い時間だからとコーヒーの代わりに紅茶を飲むというように目標を変更してもいいでしょう。

これらのさまざまな随意行動はそれぞれ、中間目標を達成するためのものです。

しかし、これらの一連の行為を統合してはじめて、当初の最終的な目標は達成されます。

一連の行動中にわたり行動の目標を維持し、また代替的な行動戦略と行動の流れを展開する能力は、随意行動の特徴です。

随意行動は、外界に存在する物体との物理的な相互作用を伴う場合が多く、このことは、外界の状態、および個人の内的状態についての感覚入力を、運動司令に変換することを脳に要求します。

この変換は、多数の大脳皮質および皮質下領域における一連の神経過程を伴います。

意図と行動の間のすべての段階の原因となる単一の領域は存在せず、また、特定の活動1つの原因となる領域すら存在しません。

この分散的組織化は、神経による随意行動の制御に関する、あらゆる側面に特徴的なものです。

随意行動のもう1つの重要な特徴は、ひとたび意図が形成された後も、行動を遅延したり、まったく遂行しなかったりすることができるということです。

ヒトは、意図が形成されたその瞬間に、その意図に従った行動を強いられるわけではありません。

これらのことから考えると、運動システムが2段階で働くことが示唆されます。

すなわち、運動の計画と遂行です。

計画は、ある意図を達成するために単一の行為、あるいは一連の行為を行うかを決定することです。

対して、遂行は、実際の運動を編成することを指します。

 

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