グルココルチコイドの生理学的作用

グルココルチコイドは副腎皮質球状層で産生されるホルモンの総称で、コレステロールから産生されるステロイドホルモンです。

コルチゾール、コルチコステロン、コルチゾンの3種からなり、多様な働きをもちます。

グルココルチコイドの多様な効果は、このホルモンがグルココルチコイド受容体と結合することから始まり、このステロイド−受容体結合はDNAの一定の分節の転写を促進する転写因子として作用します。

この結合によって、DNAの一定の分節の転写が促進されます。

その後、適切なmRNAを介して細胞機能を変える酵素群の合成が進行します。

加えて、グルココルチコイドは遺伝子を介さない作用をもつことが知られています。

グルココルチコイドは、炭水化物、タンパク質、脂肪の中間代謝に影響を及ぼし、タンパク質分解の増大、肝臓のグリコーゲン生成および糖新生の増大などに働きます。

また、グルコース-6-ホスファターゼ活性を増大させるため、血漿グルコース濃度が上昇します。

グルココルチコイドは末梢組織に対して抗インスリン作用を有し、糖尿病の増悪の要因となることもあります。

しかし、脳と心臓はその影響を受けないため、血漿グルコース濃度の上昇は、これらの器官へ余分にグルコースを供給することになります。

さまざまな代謝反応が起こる場合、ごく少量のグルココルチコイドがなければなりせんが、グルココルチコイドそのものがそれらの反応を引き起こすわけではありません、

このような働きを許容作用といいます。

許容作用とは、他のホルモンの効果発揮のためには必要になるが、その物質そのものは効果を示さないことをいいます。

この許容作用によりグルココルチコイドは、グルカゴンやカテコールアミンの熱量産性効果発現にも、カテコールアミンの脂肪分解効果発現や血圧上昇反応、気管支拡張の発現などにも重要な役割を持っているのです。

許容作用によるグルココルチコイドの働きで特に重要だといえるのが、ストレスに対する抵抗性を高めるというものです。

必ずしも全てのストレスではありませんが、ストレッサーの多くはACTH(副腎皮質刺激ホルモン)分泌を刺激します。

このACTHの増加は、ストレスが激しい時には生存するために必須になります。

ACTHの増加は、結果として副腎皮質からのグルココルチコイドの分泌の増加を引き起こします。

グルココルチコイドはその許容作用によって、副腎髄質からのアドレナリンの作用を増強するとともに、抗ストレス作用を発揮してストレスに対する抵抗性を上昇させます。

副腎皮質は、多量の糖質コルチコイドの分泌により、次第に肥大していきます。

 

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