
関節には、反対方向へ引き合う複数の筋群が対となって付着します。
例えば、肘関節を伸ばす上腕三頭筋のような伸筋群と上腕二頭筋などの屈筋群です。
伸筋どうし、あるいは屈筋どうしのように同じ働きをする筋どうしを共同筋、伸筋に対して屈筋のように反対の働きをする筋を拮抗筋と呼びます。
ある筋が能動的に興奮・収縮するとき、これを主働筋と呼び、主動筋の活動の際にその拮抗筋が抑制される機構を相反性抑制と呼びます。
この仕組が働かない場合、主動筋の収縮により拮抗筋は伸展されて筋伸張反射による収縮を生じ、目的とされる働きが妨げることになります。
主動筋活動と拮抗筋抑制をまとめて相反神経支配といいます。
筋紡錘から一次終末からの情報を求心性に伝えるIa群線維は、同名筋・共同筋運動ニューロンと単シナプス性の興奮性結合をするとともに、拮抗筋運動ニューロンへも1個の介在ニューロンを介して2シナプス性抑制結合をもちます。
この介在ニューロンはIa抑制ニューロンと呼ばれ、脊髄前角に存在する運動ニューロンプールのすぐ背内側に接して存在しています。
このニューロンは上位脳からも運動ニューロンと同様の支配を受けており、随意収縮の際にみられる相反性抑制の発現に積極的に利用されることが分かっています。
骨格筋を支配するα運動ニューロンは軸索側枝をその腹内側に接する位置にある抑制性の介在ニューロンと連絡させ、自らとIa抑制ニューロンを抑制します。
自らにもどる閉じたループを形成しているので反回抑制と呼ばれます。
これは、α運動ニューロン活動が限度を超えた場合に筋伸張反射活動に負のフィードバックをかけて過剰な活動を抑える働きがあります。