寒冷療法とその効果

寒冷療法は氷やその他の冷却装置を用いて、組織損傷に伴う出血、浮腫、筋肉の痙攣、疼痛などの悪影響を減少させる目的を持ちます。

RICEの原則を受傷後直ちに行うと、血管を収縮させ、また組織の代謝を低下させます。
このことにより、炎症や浮腫を最小限に抑えることが可能となります。
局所の血行と代謝を減少させることは、代謝産物の放出を抑制し組織損傷の進展を最小限にすることができます。

冷やす際の温度や時間、範囲そして選手の体格によって冷却作用の組織深達度が決まります。
冷却すると皮膚温は急速に低下しますが、より深い組織における冷却効果の指標にはならないと言われています。
ある研究では、人体においては氷嚢を20分間使うと20℃以上の皮膚温の低下が起こると報告していますが、人の下腿を用いた研究では皮下1.7cmの深さではわずか4℃しか温度が低下しないといった報告もあります。
さらに肩関節および肩峰下の領域においては、クライオカフを用いて90分間冷却しても、温度の低下はほとんどおこらないという報告もあるくらいです。
このことからも、寒冷療法を行っても2cm以上の深い組織では温度変化があまり起こらないを頭に入れておく必要があるかもしれません。

冷却ですが、目的とする組織の深さと大きさによって何を用いて冷却するかを決めることになります。
膝蓋腱などの小さい範囲であれば、アイスマッサージなどで対応できますが、広い範囲の場合には渦流浴などを用いたほうがよいという報告もあります。
アイスマッサージでは氷を直接皮膚につけて5~7分間当てて行うことが一般的でありますし、冷水浴では患部を15℃程度の水につけることで冷却を行っていきます。

icing-a-running-injury-quick-tip
ある研究では、アイスマッサージ、氷嚢どちらでも筋肉内の温度を下げることに有効であると証明しており、アイスマッサージのほうがより時間的効率がよいとしています。
このことからも、目的とする範囲が小さい場合で疼痛や炎症を抑える目的には、アイスマッサージのほうが効果的で効率のよい方法と考えることができるのではないでしょうか?

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-22

    リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

    リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮しま…
  2. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  3. 2017-8-11

    アフォーダンスとカノニカルニューロン

    随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化したものであり、「目的」はそれを達成するための筋道を決…
  4. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  5. 2017-7-6

    鼠径部痛と内転筋損傷と恥骨炎

    鼠径部痛はスポーツ選手がよく訴える痛みの1つです。これらの痛みを訴える選手は、内転筋群の過緊…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2015-1-31

    違和感を考える。

    身体を動かす際に、痛くはないけれど普通ではない状態のときなどに感じる『違和感』。この『違…
  2. 2014-10-18

    足の機能解剖を考える。

    「足」は一般的には足関節と足部が含まれ、1つの機能ユニットとして考えられています。足は脛骨と…
  3. 2015-12-6

    音楽の嗜好性

    人はそれぞれさまざまな好みをもちます。音楽も例外ではありません。一口に音楽の好みとい…
  4. 2016-12-12

    パフォーマンスを決める2つの要素

    高いパフォーマンスを実現するためには、大きく分けて2つの要素があります。1つ目は、筋力や持久力、…
  5. 2015-9-3

    投球動作における肘のバイオメカニクス

    投球動作における肘のバイオメカニクスは6段階に分けられます。ワインドアップ期、ストライド期、コッ…
ページ上部へ戻る