神経分離可能性の原理

運動の遂行には、様々な感覚情報が関与します。

心理的要因も例外ではありません。

運動の制御に関係している神経心理学的な原理にはいくつかあり、神経分離可能性の原理もその中のひとつです。

運動行動は、たとえばテーブル上の雑誌を椅子の上に移そうというように、行為者が環境の何かを変えようという目標を抱いたときに始まります。

はじめに戦略的過程があり、環境を変えるための目標が選択されます。

次に、運動のための標的が選択されます。

これは知覚運動統合過程であり、後頭頂葉が標的を運動の終点としたイメージを形成します。

標的は空間的位置であり、そこへ効果器である手が動いていきます。

この終点が運動制御の手引きとなります。

ただし、運動の全軌道が計算されているわけではありません。

後頭頂皮質は個々の空間的標的を選択し、前頭前皮質がそれらの標的に向かう運動に寄与します。

また、補足運動野も皮質-基底核-皮質回路の部分として、これら標的に向かう運動の系列化の過程を支えています。

たとえば、母指で示指から小指まで順番に触れることを反復するような運動になります。

系列運動には、補足運動野と基底核の機能が重視されています。

運動は、それに関与しているのが内部情報であるのか、外部情報であるのかによって変化します。

外部回路は、小脳、頭頂葉、外側運動前野を含み、視覚誘導運動などに働きます。

内部回路は、基底核と補足運動野を含み、十分に学習した自己誘導運動などに働きます。

一次運動野は、空間に置き換えて運動を符号化しているといいます。

脊髄を支配する皮質領域は、運動を空間的な意味で符号化し、これらが脊髄を介して筋活動パターンへと変換されます。

その結果、効果器は空間的位置に到達できるように動かされます。

また、小脳-赤核-脊髄系は運動の力や速さを符号化しているといわれています。

 

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-22

    リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

    リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮しま…
  2. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  3. 2017-8-11

    アフォーダンスとカノニカルニューロン

    随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化したものであり、「目的」はそれを達成するための筋道を決…
  4. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  5. 2017-7-18

    クレンチング(食いしばり)と運動の関係

    クレンチングとは、無意識的に上下の歯を強く噛みしめる動作をいいます。習慣化されたものはブラキ…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2016-2-29

    大腿直筋の生理学的作用

    大腿直筋は、大腿四頭筋の筋力のわずか1/5しかもちません。そのため、それ自体のみでは膝関節を…
  2. 2015-1-9

    内臓操練法

    みなさんは、内臓操練法という言葉を耳にしたことはありますか?この鍛錬法は、肥田式強腱術の中に存在する…
  3. 2014-11-25

    「善玉」と「悪玉」って?

    以前、コレステロールについて、善も悪もないとお書きしましたが、「善玉」「悪玉」コレステロールとは何な…
  4. 2016-4-28

    エコノミークラス症候群を考える

    エコノミークラス症候群とは、循環障害のひとつで、深部静脈血栓症や塞栓症などの疾患概念となります。…
  5. 2015-3-28

    睡眠は大脳を休息させるためにある

    活動と休息のリズムはほとんどの生物にみられる現象である。しかしながら、睡眠は単なる休息ではなく、…
ページ上部へ戻る