視覚と運動  

運動において、視覚から情報は非常に重要な役割を持ちます。

視覚系の基礎となるのは、眼球とその光学系であり、感光器として網膜が働きます。

網膜で発生したインパルスは、視索、外側膝状体、視放線を経て、後頭葉の視覚中枢に至ります。

そのほかに、視覚線維は、外側膝状体から外側視床、腹側視床、上丘、視蓋前核などへ至る経路、視索から上丘へ至る経路、視索から脳幹視蓋前核へ至る経路などがあります。

運動との関連では、中心視覚かと周辺視覚との区分が重要です。

前者は、眼前の狭い空間のものを知覚し、その詳細を知り、微細運動の制御を行うのに役立ちます。

後者は、身体周囲の空間にある物の位置や運動の情報を伝えます。

外側膝状体から視覚中枢へ至る系は、主に中心視覚に関係します。

視索から上丘や中脳へ至る系は周辺視覚に関与して、視標追跡運動の制御の主要な経路となります。

これらは、運動計画用と、運動制御用の視覚情報では、機能的に異なる視覚系を利用しているということが伺えます。

また、視覚は姿勢の安定にも関与します。

閉眼立位では身体動揺が開眼立位の50%以上も大きくなります。

速い身体動揺は、主に三半規管で制御されています。

遅い身体動揺は、視覚と卵形嚢で制御されるため、振幅の大きい遅い身体動揺になります。

外界の対象が動くと、はじめは対象の運動として知覚しますが、次第に自分が逆方向へ動いていると感じるようになり、体幹を対象の運動方向と同じほうへ傾けます。

この現象は、わずかな視覚的運動でも起こります。

視覚の姿勢制御への影響は、幼児期には、特に大きくなります。

視覚の姿勢平衡への作用は、1歳以後に現れ、成人になると、その影響力は減少します。

視覚による動的姿勢のバランス制御も重要であり、暗闇で凹凸の道を走ることはできません。

階段を下降するときの下肢筋群の活動のタイミングも、視覚による予期的運動制御が行われていることを示しています。

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