平衡感覚を司る前庭器

身体のバランスを保ち、身体運動を行うことの基礎となる感覚を平衡感覚と言います。

それを司る前庭器から中枢への入力は、大脳皮質に投射されることなく、姿勢や運動の反射的制御に直接利用されています。

前庭感覚は意識にのぼらないため、単に前庭機能とも言います。

その中で、安定した直立位を保持しているときの感覚を静的平衡感覚、つまづいたときなど、突然に身体が動いたときに平衡を保持するための感覚を動的平衡感覚と言います。

平衡感覚を司る前庭器は、内耳に存在しています。

内耳は迷路とも呼ばれ、蝸牛と前庭器から成り立ち、前者は聴覚を司ります。

前庭器は、卵形嚢と球形嚢および3つの半規管で構成されています。

卵形嚢や球形嚢には、身体の体位の認知にかかわる知覚部としての平衡斑があります。

基本的立位では、卵形嚢斑は、卵形嚢の底部に水平に位置して、大きさは前後が約2.9mm、左右が1.9mmです。

球形嚢斑は、球形嚢内側面にあり、垂直方向に弓状に位置し、前後方向が約3.1mm、幅は1.0mmです。

平衡斑には、受容器細胞として、有毛細胞を有する感覚上皮があります。

その表面には、炭酸カルシウムの小結晶様物質である平衡石を含む膠質層である耳石膜があります。

耳石膜は、周囲のリンパ液よりも比重が大きく、重力方向の変化につれて移動し、有毛細胞を刺激します。

それによって、重力方向に対する頭部の相対的な傾きを検出しています。

平衡斑は、直線運動の加速度を感知し、半規管は角運動の加速度を感知することができます。

半規管は、前・後・外側半規管からなり、相互に直角となる位置にあります。

卵形嚢に連なる近くに膨大部があり、その内部に有毛細胞が並んだ膨大部稜があります。

静止状態から頭部の回転運動が起こると、膨大部稜は動きますが、管内のリンパ液は慣性でとどまり、有毛細胞を刺激します。

半規管は、回転加速度を検出しますが、等速回転運動には反応しません。

半規管の刺激に有効な回転加速度は、0.5~1°/sec2と言われています。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-22

    リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

    リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮しま…
  2. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  3. 2017-8-11

    アフォーダンスとカノニカルニューロン

    随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化したものであり、「目的」はそれを達成するための筋道を決…
  4. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  5. 2017-7-18

    クレンチング(食いしばり)と運動の関係

    クレンチングとは、無意識的に上下の歯を強く噛みしめる動作をいいます。習慣化されたものはブラキ…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2015-7-17

    細胞膜の流動モザイクモデル

    細胞膜は親水性の頭と疎水性の尾からなる両親媒性のリン脂質の二重層からなっています。その両親媒…
  2. 2017-9-16

    腱や靭帯と年齢について

    骨格の成熟度と加齢は、靭帯と腱のバイオメカニクス的性質に大きく影響します。一般に、引張強度、…
  3. 2017-5-16

    加齢に伴う身体能力の変化

    加齢に伴い運動機能は減退します。特に筋力と有酸素能力の低下はスポーツや運動活動への参加を困難…
  4. 2017-5-7

    パフォーマンスを向上させる反復練習

    スポーツのパフォーマンスを向上させるためには、そのスポーツに必要なスキルの要素を特に繰り返し練習する…
  5. 2017-2-15

    最大筋力を高めるために

    パフォーマンスをあげるために大きく影響する最大筋力ですが、この最大筋力は「筋の断面積」「運動単位の動…
ページ上部へ戻る