起始 第1~9肋骨

停止 肩甲骨①上部(上角)

②中部(内側縁)

③下部(下角及び内側縁)

作用 前鋸筋全体:①肩甲骨を前外方に引く、

②上肢帯が固定されていれば肋骨の挙上(吸息の補助)

下部:肩甲骨を回転させその下角を前外側に引く(関節窩を上方に回転させる)

上部:挙上した上腕を下げる(下部筋束に対して拮抗)

支配神経 長胸神経:第五頸椎~第七頸椎

 

胸部の側面、両脇の下に見えるギザギザの筋が前鋸筋になります。

機能としては肩甲骨を外転させる、肩甲骨を上方回旋させる、肩甲骨を固定した時に肋骨を挙上させる、などがあります。

日常生活で意識することの少ない筋肉だとは思いますが、やはり重要な筋であり、スポーツ動作の際も深くかかわってきます。

最近で言うと、ラグビー日本代表の五郎丸選手のキック前のルーティンが話題になっていますが、あの動作にも前鋸筋の活動を高める要素が含まれているようです。

五郎丸選手は立ち位置を決めた後ですが、まず肩甲骨を寄せる動作をします。

この時に胸椎を伸展させ肩甲骨を内転位まで寄せる意識を作ります。

その次にボールを押し出すようなイメージで右手を動かしますが、この時に息を吐くことで肋骨を内下方に絞り腹腔内圧を高めます。

そこから、有名な手を合わせるポーズに移りますが、ここでは肩甲帯を安定させたままさらに下位肋骨を内下方に絞ります。

次に助走をとっていきますが、この時も手足は緩やかに可動していますが、肩甲帯は安定し、腹腔内圧は高く保ったまま、体幹部はほとんどぶれていません。

そこからキック動作に移りますが、左腕が大きく振り上がるにも関わらず、肋骨や肩甲帯はほとんどぶれず、安定したフォームのままボールに力を伝え、蹴り出すことができます。

このルーティンの中で前鋸筋が上手くアイソメトリック収縮で作用していなければ肩甲帯が安定せず、下位肋骨が開きやすくなることで腹腔内圧を高めにくくなり、左手を振り上げた際に腰椎を安定させることができないため、伸張反射を利用した右足のキック動作が上手く行えないことにも繋がると考えられます。

そう考えると、五郎丸選手のルーティンは前鋸筋から動作を考えた際に、理に適っていると言えますね。

前鋸筋をうまく機能させることは、ラグビーのキック動作だけでなくその他のスポーツにも良い影響を与えます。

投球動作や走動作の際にも肩関節の安定に働きます。

スキャプラプロトラクションやベンチプレスなどのトレーニングを行うことで筋活動が確認されているので前鋸筋を意識してトレーニングできるとよいかと思います。

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