呼吸筋のコンディショニング

最近の研究で、横隔膜や腹横筋は体幹の安定性と呼吸の維持を図る二重作用を持つことが明らかにされていて、姿勢制御機構としての呼吸筋の役割についての重要性がさまざまな研究から報告されています。

身体バランスの破綻、姿勢制御機構の破綻は、そのまま肺機能の破綻にも繋がるとも言われていますし、その結果として動作時では呼吸回数も多くなり、呼吸困難感も早期に増悪するとも言われています。

横隔膜の平坦化という病態から横隔膜や腹横筋などのlocal muscleの機能低下が生じていることもこれを裏付ける理由であると考えられています。

また、呼吸をトレーニングしている人の重心位置は、非トレーニング者に比べて低い位置にあるという研究もあり、横隔膜や腹横筋などの機能が高いレベルにある場合、呼吸のコンディショニングが優れていると考えることができます。

ある研究では、下部体幹での安定化が、深呼吸時の脊柱の可動性を高め、胸郭の可動性を引き出すという報告をしています。

呼吸筋のコンディショニングは、体幹の安定性を高める上でも不可欠であり、それが呼吸筋のリラクゼーションの獲得に寄与することにもなります。

呼吸筋のリラクゼーションを低下させる因子として考えられているのは、呼吸器症状の悪化、四肢体幹の運動性や筋力の低下、不良姿勢や不良動作などが挙げられますが、特にこの中でも不良姿勢により、体幹のlocal muscleはいとも簡単に機能不全に陥ってしまうことがあります。

例えば、身体力学的に良好な姿勢では、横隔膜は心臓下部の前方が脊柱の付着部よりも高くなるのに対し、不良姿勢では横隔膜前方は垂れ下がり、それに伴って胸郭前後径の減少がみられ、腹壁は弛緩していきます。

いわゆる「腹腔内圧」が弱い状態です。
この状態では、肋骨の動きも少なく、胸郭可動性もでないため、呼吸のしづらさが生じてしまいます。

基本的に、体幹は胸郭と脊柱、骨盤により骨格形成されているので、各々が影響しあう構造となっています。

ですので、どのパーツに問題が生じても、呼吸を円滑に営むための適切な体幹の動きが阻害されてしまいます。

また、それと同時に体幹の動きのバリエーションも減少し、力の入れづらさや動きづらさが生じることとなり、円滑な呼吸運動を行えなくなってしまいます。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-22

    リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

    リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮しま…
  2. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  3. 2017-8-11

    アフォーダンスとカノニカルニューロン

    随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化したものであり、「目的」はそれを達成するための筋道を決…
  4. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  5. 2017-7-18

    クレンチング(食いしばり)と運動の関係

    クレンチングとは、無意識的に上下の歯を強く噛みしめる動作をいいます。習慣化されたものはブラキ…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2017-2-23

    慢性疲労が起こすオーバートレーニング症候群

    スポーツやトレーニングを行って出た生理的疲労が、十分な回復をすることなく積み重なってその結果として慢…
  2. 2017-2-9

    小学生や中学生のトレーニング

    小学生から中学生にかけての成長期は、骨が大きく成長し身長が急激に伸びる時期にあたります。この…
  3. 2015-9-1

    運動学習における感覚系の役割

    箸を巧みに使うためには、視覚運動協応が重要であり、ピアノ演奏には、聴覚フィードバックが必要になります…
  4. 2017-3-12

    発育期における筋力エクササイズ

    近年子ども達の体力や運動能力の低下が指摘されています。筋の発揮する張力は身体活動の基盤であり…
  5. 2015-9-24

    呼吸筋のコンディショニング

    最近の研究で、横隔膜や腹横筋は体幹の安定性と呼吸の維持を図る二重作用を持つことが明らかにされていて、…
ページ上部へ戻る