呼吸と呼吸中枢と反射

ヒトは、空気を肺に吸い込んで、その中に約20%含まれている酸素を血液中に取り込み、体内でのATP産生過程で発生した二酸化炭素を呼気とともに排出しています。

通常は、このガス交換を単に呼吸といいますが、体内ではもう一つガス交換が行われており、それと区別するため、外呼吸ともいいます。

呼吸の調整には、中枢性、末梢性の化学受容器、肺の伸展受容器、そして骨格筋が関与しています。

呼吸のために働く骨格筋は横隔膜や肋間筋であり、意思の力で収縮・弛緩させることができます。

ヒトはこの性質を利用して、意識的に息をとめたり、呼息を長く続けるなど呼吸を変化させることができます。

一方で、睡眠中のように意識がない状態でも呼吸は続けられます。

これら含め呼吸全体をコントロールしているのが呼吸中枢になります。

呼吸自動調節の中枢は、橋より尾側の脳幹部に存在しており、それより吻側の脳神経組織は正常呼吸に必要ではありません。

いわゆる呼吸中枢は、特定の神経核に相当するわけではなく、主として延髄内の2つの領域に分布するニューロン群の神経回路網がその実体になります。

その第1領域は孤束核の腹外側を中心に吻尾方向に柱状に分布する背側呼吸ニューロン群です。

これは、Hering-Breuer反射に関与しています。

Hering-Breuer反射とは、肺に存在する伸展受容器による反射で、吸息によって気管支が拡張されると、これらの伸展受容器が興奮し、インパルスを迷走神経を介して呼吸中枢に送ることで、吸息を終わらせて呼息を開始させるというものです。

次に第2の領域は、延髄腹外側の後顔面神経核・疑核・後疑核ならびにその腹外側の網様体を中心に吻尾方向に柱状に長く分布する腹側呼吸ニューロン群になります。

この腹側呼吸ニューロン群の最吻側部は、Bötzinger complexと呼ばれ、脳幹内にのみ軸索を投射するニューロンが密に分布して、基本的呼吸パターン形成に重要な部位と考えられています。

また、呼吸には規則的なリズム性があり、それは、延髄腹側のPre Bötzinger complexという部が重要な役割を担っているといいます。

そこには、心臓のように1個の細胞でも自律的にリズムを作れるペースメーカー細胞があることが示されています。

一方で、顔面神経核近くの傍顔面神経核領域にもペースメーカー細胞があり、呼吸リズムの最初に活性化されることが示されています。

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