身体動揺と防御反応

人間が立位姿勢を保持している時、突然、床面が水平に移動したり、肩甲帯や骨盤帯を押されると、重心線は安定性の限界を超えてしまいます。

その場合、立位姿勢を保持するのに、いろいろな調整機構が関与して、体位と構えを取り戻します。

身体が水平に急に動かされた時の応答を防御反応またはよろめき反応といいます。

たとえば、後方へ向かって肩甲帯が引かれると、外力が僅かであれば、足趾と足関節の背屈が起こります。

外力が弱いと、足の背屈に加えて、肩関節の屈曲が生じます。

また股関節も軽く屈曲するようになります。

これらは、いずれの運動も重心を前方へ移す役割を果たしています。

外力が強ければ、片足を後方へ踏み出し、跳び直り反応のような反応が起こり、新たな支持基底を形成して、転倒を防いでいます。

反射階層理論では、これらの反応には、大脳皮質を含めて、上位中枢によって統合された反射機構が関与していることになります。

これらを検証した実験では、被験者がプラットフォームの上で立位姿勢を保持している時、プラットフォームを前後方向に動かしたり、傾けたりすると、下肢の関節に応答運動が起こることが示されています。

この運動は定型的な反応であり、運動の大きさに応じて関節運動も変動します。

また、プラットフォームが前後の動くと、膝関節には運動がなく、足関節あるいは股関節に屈伸運動が起こります。

そのさい、下腿三頭筋とハムストリングス、前頚骨筋と大腿四頭筋がそれぞれ共同筋となって活動します。

これらの応答運動は防御反応と同一であると考えられています。

立位姿勢における身体動揺に対する下肢共同筋群の活動は、プラットフォームの水平移動への応答であっても、自発的な身体運動による身体動揺であっても同じであるということです。

さまざまな研究から、上肢の運動にかかわる主動筋の活動よりも先に、下肢の共同筋群が活動することもわかっています。

筋群の共同筋としての関係を保ったまま、筋活動の振幅を変化させるのが基底核の働きであり、共同筋活動パターンを保持しているのが小脳の機能と考えられています。

これらの共同筋活動の応答潜時(生体に刺激が与えられてからその刺激に対する外的に観察可能な反応が生じるまでの時間)は100~120secとやや長く、長経路応答と呼ばれています・

足関節を固定しておくと、応答開始が遅れるため、この種の外乱による刺激としては、足関節の他動運動が重視されています。

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