遺伝子と性格

心理学領域にクレッチマーの分類というものがあります。

これは、性格と体格、そして精神疾患には関係があるというものです。

大きく3つに分けることができ、やせ型は、真面目で控えめで分裂気質、肥満型は社交的、温厚、躁うつ気質、筋骨たくましい人(闘士型)は几帳面、頑固、粘着気質といった具合です。

粘着気質は非常に几帳面で責任感の強い性格、分裂気質は、人付き合いが悪い、無愛想、孤独が好きといった性格と表されています。

このようなパーソナリティは、成長の過程で経験したことと遺伝子の両方が複雑に影響しあっていると考えられています。

しかし、ときに遺伝子が非常に大きな影響を及ぼすことがわかってきました。

オランダの遺伝学者ハン・ブルーナー博士は、衝動的、攻撃的な行動を取る人が多い家系を調べたところ、その家系にはモノアミン酸化酵素A(MAOA)という酵素をつくる遺伝子に異常があり、それが全く作られないことが分かりました。

MAOAは、セロトニンやドーパミンなどのモノアミン系神経伝達物質を酸化させ、機能しないようにする酵素です。

博士らは、この家系の中でMAOAが作られない男性全員が反社会的な行動を起こしていることから、MAOAが攻撃性と関わっていると結論づけました。

MAOA以外にも性格と関係していると考えられる遺伝子の個人差がいくつか指摘されています。

セロトニンをニューロン内に再取り込みするセロトニントランスポーター遺伝子が不安と関係しているという研究や、ドーパミンの受容体の遺伝子と新しいもの好きな性格が関係しているという研究です。

ただし、これは個人差があるということを考慮しなければなりません。

例えば、日本人は96%が不安の強いタイプのセロトニントランスポーター遺伝子をもっていますが、実際に96%全員が不安を感じやすいかというとそうではないはずです。

それでも、MAOAのように遺伝子が全く機能しなくなると大きな影響が出るのは確かだと言われています。

しかし、個人差程度の遺伝子の違いと性格が関係しているかどうかはまだはっきりと分かっていないのが現状のようです。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-22

    リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

    リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮しま…
  2. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  3. 2017-8-11

    アフォーダンスとカノニカルニューロン

    随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化したものであり、「目的」はそれを達成するための筋道を決…
  4. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  5. 2017-7-18

    クレンチング(食いしばり)と運動の関係

    クレンチングとは、無意識的に上下の歯を強く噛みしめる動作をいいます。習慣化されたものはブラキ…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2015-9-1

    コンパートメント症候群の急性症状と慢性症状

    コンパートメント症候群は、コンパートメント内の圧力が局所の動脈圧を超えた状態で発生し、筋および神経の…
  2. 2016-5-11

    筋線維の壊死と再生

    筋線維の壊死は、細胞膜の破壊から始まります。このとき、細胞膜を裏打ちしているジストロフィンと…
  3. 2015-2-24

    セカンドインパクトシンドロームを防ぐ

    脳震盪というのはサッカーやアメフトなどの接触プレーの多いコンタクトスポーツで起こりやすい疾患で、頭部…
  4. 2016-3-5

    脂質やコレステロールは必ずしも悪者か?

    多くの方が脂肪について良くないイメージをもっていて、話をしていると「脂肪をできるだけ制限し、あまり食…
  5. 2015-5-17

    体温と代謝

    私たちの体温は通常37℃前後に一定に保たれています。これを内温性といいます。これに対…
ページ上部へ戻る