スポーツとてんかん発作

先日行われたイングランド・プレミアリーグ、エバートン対マンチェスター・シティの試合でのことです。
マンチェスター・シティのコーナーキックの際、観客の異変に気付いたアルゼンチン代表のセルヒオ・アグエロ選手。レフリーに試合を中断すように促しました。観客は、『てんかん』の発作を起こしていたようです。
『てんかん』とは?
脳内の神経細胞の異常な電気的興奮に伴って痙攣や意識障害などが発作的に起こる慢性的な脳の疾患です。この疾患は紀元前から知られており、神聖病とも呼ばれていました。異常な電気現象を起こす原因はまだよく解っていません。現在も研究が行われており、その原因が解明されることも近い将来あると思います。病的な電気的興奮が脳の様々な場所に起こるため、症状も種々なものがみられます。また、これらの興奮現象は異常脳波として現れるため、脳波の検査は診断には必ず必要となります。脳炎や脳腫瘍などでも痙攣は起こりますが、この場合は病名として『てんかん』とは呼ばず、基礎にある疾患の名前で呼ぶのが一般的です。『てんかん』の患者さんの数は人口10万あたり約200~300人といわれており、比較的多い疾患になります。
どのような発作が起きるかと言うと
・強直(きょうちょく)間代(かんたい)発作
→全身の痙攣、あるいは脱力などが突然起こることが特徴となります。強直発作はいきなり四肢、頚部、体幹などの筋のつっぱりあるいはこわばりが起こり、このため身体がねじれると同時に意識消失がみられます。
間代発作と呼ばれるものも手足が突然に屈曲伸展してガタガタとふるわせる痙攣発作になります。この2つの発作は伴うことが多く、強直・間代発作と呼ばれていて、多くの場合において意識消失とともに全身性強直痙攣が起こり、次いで間代性の痙攣発作へと移行します。発作は数分で治まり、しばらく意識不鮮明やもうろう状態あるいは睡眠に移行した後に正常に返るのが一般的な経過となります。
・欠神(けっしん)発作
→子供に多い型で、5~15秒の短い意識消失発作が起こり、その間今までしていた動作を一時的に止めてじっとしていて、また元の動作に戻ります。あまり短いと周囲の人も気づかないことがあり、また学校での授業中ボーっとしていると指摘され、不真面目な児童と誤解されることもありますので注意が必要です。複雑欠神発作は意識のない間、意味のない自動運動や軽い筋肉のピクつき、脱力、突っ張りなどを伴う発作になります。

・ミオクローヌス発作
→顔面、四肢、体幹などの筋肉に短時間のピクっとした痙攣が起こる型になります。脱力発作は頭部、体幹、四肢などの姿勢を保つのに必要な筋肉の脱力が短時間発作的に起こり、そのため尻もちをついたり、ガクッと頭を前にたれたりし、同時に瞬間的な意識消失を伴うものです。
・部分てんかん
→意識障害の伴う型と伴わない型があります。痙攣などの運動が身体の一部にみられ、しばしばそれが他の部位に連続的に広がっていく運動性の発作は、口周などに痙攣が始まることが多く、手足→口周→同じ側の身体半分→全身などに広がり、全身に痙攣が及んだところで意識を失うのが一般的です。また身体の一部に起こった異常感覚がほかに広がる感覚性の発作もあり、腹痛・下痢などの自律神経症状が発作的にみられるようなものもあります。
・特殊なてんかん
→乳児や小児にみられることが多く、『点頭(てんとう)てんかん』と呼ばれるものは、急に頭を前に倒し、下肢を伸ばし、上肢を上方にあげ、胴体を曲げる。いわゆる礼拝に似た動作がみられる発作を起こします。精神的および運動の発達障害がみられることが多く、また原因として全身の疾患が関与し、特殊な治療が必要なこともありますので、専門医への受診が早急に必要です。レノックス症候群と呼ばれるものは、2~4歳の幼児に多く小発作としての脱力発作やミオクローヌスを伴った欠神発作が頻発するもので、精神や運動の発達障害があり広範な脳障害によって起こるとされています。脳波が特徴的な異常を示すため診断は比較的容易となります。反射性てんかんは、光音・音楽・触覚など様々な感覚刺激、あるいは自分の運動、条件反射などによって誘発されるてんかんになります。以前、テレビアニメの番組を見て多くの子供に痙攣が起こり話題になりましたが、このてんかんと考えられています。
最近でも、『てんかん』の既往歴を持った方がニュースになっていましたね。
今回、アグエロ選手がとった行動は本当に素晴らしいことです。観客の方も無事だったようなので良かったですね!

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