投球動作における肘のバイオメカニクス

投球動作における肘のバイオメカニクスは6段階に分けられます。
ワインドアップ期、ストライド期、コッキング期、加速期、減速期、フォロースルー期です。

 

ワインドアップ期とストライド期の間には肘の動作と筋活動は最小になります。
ある研究では足が着地した際、肘の屈曲は85°近くになっていると報告しています。

コッキング期は足が着地してから肩が最大外旋するまでの間をさします。
前腕が回外していくにつれて、外反ストレスに拮抗するための内反トルクが肘に生じていきます。
肩関節の最大外旋位に至るまでの短い時間で、肘関節は屈曲95°程度まで曲がり、60~70Nmという内反トルクが生じるという論文もあります。

この肘にとって過度のストレスが加わる際の過剰な外反ストレスが肘関節の内側構成体、特に尺側側副靭帯の損傷原因となると言われています。
ある研究によると、この尺側側副靭帯が外反ストレスのおよそ半分のストレス、つまり70Nmの外反トルクのうち、およそ35Nmの外反トルクを受けているとしています。

また、肘関節が外反すると橈骨頭と上腕骨小頭が接触し、肘の外側構成体の圧迫損傷が生じる可能性もあります。
この圧迫により、無腐性壊死や離断性骨軟骨炎、軟骨下骨折などを引こ起こすとも言われています。

最大外旋位からボールリリースまで前腕が加速していく時、肘は約2500°/秒の角速度で伸展していくという研究報告があります。
この際に肘関節が同時に伸展と外反ストレスに拮抗していく(外反伸展過負荷)と、肘頭が滑車溝の内側縁と肘頭窩にインピンジメントする可能性が出てきます。

このインピンジメントが後内側の骨棘や遊離体の形成の原因となっていると言われています。
減速期からフォロースルー期への経過で肘関節屈筋群の過剰な収縮によって肘関節への牽引力をコントロールしています。
これには上腕二頭筋と腕撓骨筋がゆるやかに働いていることが報告されています。
この肘関節の屈筋群の活動が、肘を急速に伸展していく際の肘頭のインピンジメントを防ぐ働きをしていると考えられています。
フォロースルー期でも、肘関節は伸びきらず軽度屈曲位のままである。
この際も減速という働きを上腕二頭筋、腕撓骨筋が担い、筋活動があるからだと考えられます。

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