コンパートメント症候群の急性症状と慢性症状

コンパートメント症候群は、コンパートメント内の圧力が局所の動脈圧を超えた状態で発生し、筋および神経の虚血を引き起こす疾患です。
下腿には強靭で弾力性に欠ける筋膜で覆われた4つの主要なコンパートメントがあります。
コンパートメントには、それぞれ臨床的に重要である神経を有します。
前方コンパートメントには深腓骨神経が、外側コンパートメントには浅腓骨神経が、浅後方コンパートメントには伏在神経が、深後方コンパートメントには脛骨神経が、それぞれ位置しています。

コンパートメント症候群は、数時間のうちに急激に発症する急性症状と、数カ月から数年に渡り長い期間に漸増と漸減を繰り返す慢性症状があり、ともに運動に関連して起こることが多いとされています。

急性のコンパートメント症候群は、外傷による脛骨骨折に合併して起こることが多いが、挫滅傷、熱傷、薬物の過剰投与、運動などによって起こることもあります。
運動に起因するものでは、急性コンパートメント症候群はコンディションの悪い選手が運動を行いすぎて起こることも多いですが、もともと慢性的なコンパートメント症候群を有する選手が、より強い強度で運動を行った際にも起こるという報告もあります。

一方、慢性コンパートメント症候群では、運動後に筋線維の腫脹やコンパートメント内の血液量増加のため、正常でもコンパートメント容積が約20%程度増加するということがわかっています。
コンパートメント症候群の特徴であるコンパートメント内の異常な圧の上昇が起こる原因としては以下のものが考えられています。

①運動によって起こる筋肥大
②運動によって起こる筋膜肥厚により、その硬化と弾力性の低下が生じる
③遠心性の筋収縮により筋線維が損傷し、その結果蛋白結合イオンが放出され、コンパートメント内の浸透圧が上昇する

これらが原因となってコンパートメント内の内圧が上昇することによって、局所の筋・神経が虚血すると考えられています。

この際、虚血が起こる原因としては、

①浸透圧が上昇し、毛細血管の拡張期圧が増大、結果として血液量が減少する

②動脈の攣縮により、動脈血流が減少する

③壁内外圧差による動脈、または静脈の虚脱

などが考えられています。

また、慢性コンパートメントの70~80%は前方コンパートメントに生じるという報告もあり、慢性コンパートメント症候群で脛骨後方のコンパートメントに虚血が生じることはまれであるといった報告もありますので、特に前方コンパートメントには注意が必要ですね。

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