運動学習における感覚系の役割

箸を巧みに使うためには、視覚運動協応が重要であり、ピアノ演奏には、聴覚フィードバックが必要になります。

眼を閉じていても、できる程度に上達すると、感覚情報なしで、ある程度の運動課題の遂行が可能になります。

上肢の間隔を喪失した患者が、閉眼したまま、複雑な手指の運動を行うこともできます。

しかし、慣れ親しんだ運動課題は別として、新たな運動課題の学習にとっては、感覚情報の欠如は致命的になります。

運動学習では、身体の動きで生じる各種の感覚器から得られたパフォーマンスに関する情報を、感覚フィードバックとして利用しています。

感覚フィードバックのひとつの役割は、課題遂行時の運動制御に利用されて、運動軌道の修正を行うことです。

このフィードバック制御は閉ループ系とも呼ばれ、フィードバック‐誤差検出‐誤差修正を基本要素とする自己調節系である。

この系を通して、中枢神経系からの出力は、常にフィードバックされて、目標値と実行値との誤差をなくすように調節されています。

もうひとつの役割は、次回の運動を改善するために役立つ情報を提供することであり、学習フィードバックと呼ばれています。

指導者や教師の助けがなくても運動技能が獲得されるのは、身体運動および環境に対する運動の帰結から自動的に生じた学習フィードバックによる結果です。

これを内在的フィードバックといいます。

指導者や教師は、外在的フィードバックを与えることで、内在的フィードバックを強化することができます。

外在的フィードバックは、訓練目的で利用する特定の情報であり、結果の知識や身体運動の正誤、あるいは修正すべき点を告げることになります。

特定の情報とは、運動が正しいことを告げる信号、賞賛や激励、誤りの指摘などがあります。

また、感覚フィードバックは、生体のフィードフォワード制御を可能にする内部モデル形成にも関与しています。

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