記憶とシナプス可塑性

ヒトの脳のニューロンは1000億以上あるとされています。

そのそれぞれが数千から数万のシナプスをもち、複雑な回路をつくっています。

これを人間世界に置き換えると、世界の人口約65億人に対し、脳の中ではその10倍以上の人間がそれぞれ数千人以上の相手と会話をしているようなものです。

これらの回路は常に一定であるはずはなく、身体内外に起こる反応により変化が起こるものだと考えられています。

よく例えられるものに記憶があります。

記憶するということは、その前とその後では脳の中で必ず変化が起きているはずであるからです。

そして記憶が消えずに残るためには、その変化はそのまま維持されなければなりません。

このように変化が起きてそれが維持されるという性質を可塑性といいます、

例えば、粘土を指で押すとその部分がへこみ、指を離してもそれが戻ることはありません。

これが可塑性になります。

この可塑性を発揮するものがニューロンの回路になります。

ニューロンの回路とそこを流れる信号を線路と電車だと考えると、いったん線路を作ってしまえば、電車は必ずその線路の上を走ります。

つまり線路が維持されるかぎり、電車は何度でも同じように走ることが出来ます。

これは記憶の場合には、何度でも同じように信号を流し、記憶を思い出すことができるということになります。

同じ記憶でも、数秒で忘れてしまうような記憶は、回路の変化を引き起こさないと考えられます。

脳の中で信号が流れ続けている間は覚えていますが、その信号が止まってしまうと信号の流れを再現できないため、思い出すことができなくなるのです。

記憶には、ニューロンの回路が変化して、さらにそれが維持されることが重要なのです。

 

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