筋持久力とエネルギー供給

持久力とは、運動を持続できる能力のことで、疲労に対する抵抗力とも言えます。

筋持久力を決定する要因としては、筋に貯蔵されているエネルギー源、筋への酸素運搬能力、筋の酸素利用能力、神経系の機能といったものが挙げられます。

筋の収縮エネルギーには、加水分解によりATPがADPになる時や、Piを1つ放出してAMPが生成されるときに放出される化学的エネルギーが用いられています。

しかし、ATPは筋中にはわずかな量しかなく、運動によって短時間に消費されます。

そこで運動を持続的に継続させるには、ATPやCPの再合成が必要となります。

ATPの再合成には、グリコーゲンの解糖エネルギーも利用されます。

クレアチン一リン酸がクレアチンキナーゼの作用によりCPとPiに分解され、このPiによってADPからATPが再合成されます。

そのため骨格筋は自らのエネルギー源であるグリコーゲンを細胞内に貯蔵しています。

正常な骨格筋の平均グリコーゲン貯蔵量は総筋重量の1%とされています。

しかし長期の運動により、このグリコーゲンの貯蔵量は3%以上にも増加すると言われています。

これは長期の運動によってグルコースの輸送担体(GLUT4)が約3倍近く誘導・合成され、インスリン依存性の血中グルコースの摂取が増大して蓄積グリコーゲンが合成されるためとされています。

そしてこの蓄積量は運動持続可能な時間に影響します。

骨格筋に蓄積されたグリコーゲンの量は、運動の持続に伴い減少します。

そのため低強度で長時間の運動は、グリコーゲンを節約し有効活用するために脂肪が主なエネルギー源として用いられます。

そして有酸素系代謝によってATPが産生されます。

酸化的リン酸化は筋ミトコンドリア内で行われ、この過程に十分な酸素の供給が必要となります。

筋までの酸素の輸送は赤血球内にあるヘモグロビンにより行われ、代わって骨格筋細胞内ではミオグロビンが筋ミトコンドリアまで酸素を輸送します。

そのため長期の運動継続により骨格筋内の毛細血管の数や太さは発達し、毛細血管と筋細胞またはミトコンドリアとの距離が近くなり、筋線維間または筋細胞膜下のミトコンドリアが発達していきます。

また運動中は骨格筋に供給される血液量も20〜30倍にもなり筋ミトコンドリアへ十分な酸素が供給されます。

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