活性酸素と筋ミトコンドリア

運動により、身体の酸素消費量は10〜40倍に、骨格筋では100〜200倍に増加すると言われ、一過性の激しい運動に伴い、筋ミトコンドリアでの酸素消費量の増加と活性酸素の生成率も増大し、骨格筋細胞の障害を引き起こす要因と考えられています。

運動により誘導される活性酸素の産生機序には、2つの機構が考えられています。

1つには、運動中のミトコンドリアからの活性酸素の産生増加によるものです。

もう1つは、虚血後の血流の再灌流によるものです。

激しい運動中の骨格筋は、代謝が盛んなために、運動後に生じる血流の再灌流により、虚血に陥った筋組織へ酸素流入がぞうかし、結果的に活性酸素が増加します。

ミトコンドリアDNAは増加した活性酸素種の曝露を直接受けやすい状況にあります。

これは、過用がそれに対応しているものと考えられ、急激で過度な運動はリスクをはらんでいると言えます。

しかし、最近では廃用でも酸化ストレスが増加するという報告が出ています。

2週間以上の後肢懸垂によるラットヒラメ筋の廃用後の変化をみると、廃用筋のミトコンドリアの多くは縮小し、濃縮傾向ですが、逆に膨大または液胞化を示したものもみられ、Z線の周辺はアクチンフィラメントの融解消失もみられました。

一方で、廃用2週間後に自然回復2週間を経過した筋では、ミトコンドリアDNAの変異はなく、回復傾向にありました。

しかし、アクチンフィラメントの融解・断裂をむしろ著明となり、より悪化していることが確認できます。

また、廃用による酸化ストレスの影響として、血漿過酸化脂質濃度は通常よりも約3倍の上昇がみられたといいます。

廃用性筋萎縮の特徴には、筋湿重量の低下、SO、FOG線維のミトコンドリア容量の減少、酸化系酵素の活性低下、筋の太さの減少などがあります。

廃用時には、細胞質内にキサンチンオキシダーゼといわれる活性酸素の増加が報告されており、この反応は、筋ミトコンドリア内の活性酸素を中和するための抗酸化酵素の一つを減少させることも報告されています。

 

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