直立歩行と四足歩行における静脈弁

4足歩行の動物でも人間でも静脈には静脈弁という逆流どめの装置がついています。

4足歩行の動物が立っている時の手足の位置は、常に心臓より低いところにあるため、末端から心臓へと送り返すための重要な装置が静脈弁です。

動脈の中では血液は心臓のポンプの力によって、高い血圧で押し出され、拍動しながら、心臓より高い部位、低い部位へと送られます。

しかし血液が毛細血管を通り静脈に戻ってくる頃には、血圧はほぼゼロに下がって、心臓のポンプの力はおよばなくなっています。

この時重要になってくるのが静脈弁なのです。

四肢の深部の静脈は動脈と並んで同じ結合組織の包装の中につつまれていて分布していることが多いので、動脈の中に血液が脈を打って送り出され、動脈が膨らむたびに反対に静脈をしごく形になります。

静脈弁は構造上、しごかれると心臓の方向だけに開いて血液を送り、その反対方向には弁を閉ざして血液を全く通さないのです。

つまり、静脈血は動脈が拍動したり周囲の筋肉が収縮したり弛緩したりするたびに、弁の方向つまり、心臓方向にしぼりだされて行くのです。

しかし、4足歩行の動物を横から見ると殿部の方が心臓より高い位置にきます。

そのため、四肢からの静脈血が最終的に集まる大静脈には、静脈弁がないが、自然に心臓に戻ってきます。

人間が直立歩行をはじめたことで、殿部のほうが心臓より低くなる人間は、下大動脈とその枝の分布する肛門のまわりの複雑な静脈叢に静脈血がたまりがちになり、4足歩行には見ることのない痔という病気が人間に限って起こってくるのです。

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