ヒトはおよそ24時間周期で覚醒と睡眠を繰り返している。

睡眠には、身体的休息のみならず、脳内におけるさまざまな機能のバランスを回復させ、記憶を定着させる役割があると考えられている。

実際、断眠状態が長時間続くと思考力の低下、判断力の低下をきたすとともに、イライラするなどの情緒的変化をきたす。

睡眠は脳機能をリセットする過程であり、このため積極的に睡眠を引き起こす睡眠中枢が存在する。

橋下部から延髄にかけて存在する縫線核群や孤束核などが睡眠中枢であると考えられている。

また、セロトニンやプロスタグランジンは睡眠を誘発する物質として知られている。

睡眠はノンレム睡眠(徐波睡眠)とレム睡眠に分けられる。

入眠はノンレム睡眠で始まり、約90分周期でレム睡眠が出現する。

ノンレム睡眠は大脳皮質の休息時期であり、脳波によって4段階に分けられる。

レム睡眠は、成人では一晩のうちに3~6回出現するが、新生児ではレム睡眠の時間が長く、睡眠時間の約半分を占める。

成長とともにレム睡眠は短くなり、高齢者ではレム睡眠のみならずノンレム睡眠の長さも短くなり、睡眠深度も浅くなって夜間にしばしば覚醒するようになる。

レム睡眠時はなかなか覚醒させることができないほど睡眠としては深いが、脳波上は覚醒時と同じ低い振幅の速波(β波)が観察されるため、逆説睡眠(paradoxical sleep)とも呼ばれる。

レム睡眠時には全身の骨格筋は弛緩し、心拍数や呼吸数は増加して不規則となり、REM(Rapid Eye Movement : 急速眼球運動)の名のとおり急速な眼球運動がみられる。

また、夢をみたり夜尿をするのもレム睡眠の時期であり、陰茎の勃起がみられることもある。

レム睡眠の定義はいまだ解明されていないが、熟睡感を得るには十分なレム睡眠が必要である。

通常の睡眠薬ではノンレム睡眠だけが長くなるために、また高齢者でもレム睡眠が短縮するため熟睡感が得られにくい。

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