筋タンパクの同化と異化について

筋タンパクにおけるタンパク質の同化と異化のパランスは、筋力の維持、余剰になったエネルギーの貯蔵・管理において重要な要素となります。

骨格筋はヒトのタンパク質の50〜75%を保持する組織で、姿勢の保持や運動に必須なだけでなく、食餌より得られた栄養を筋タンパクとして合成、同化・貯蔵し、飢餓状態になると異化作用によりこれを供給しています。

この同化・異化作用は、ホルモン、栄養物質、サイトカイン、物理的な張力によって制御されます。

例えば、BCAAの摂取による低分子量Gタンパク質のひとつであるRhebの活性化は、細胞内シグナル伝達タンパクであるmTORなどを介してタンパク質の合成を促進させ、同化を亢進させます。

一方で、視床下部-下垂体系の制御を受けて副腎皮質から分泌されるストレス応答性のホルモンであるグルココルチコイドは、筋タンパクの合成の抑制と分解の亢進をもたらします。

筋タンパクの分解によって生まれた遊離アミノ酸は筋線維においてTCA回路に利用されるほか、肝臓へ入り糖新生に使われます。

グルココルチコイドを介した筋萎縮には、筋原性の病変を除けば、糖尿病、飢餓、低血糖症、敗血症などさまざまなものがあるとされています。

骨格筋における同化と異化はさまざまな段階において互いに関連しあい、環境に応じて代謝の状態を制御しているものと考えられます。

したがって栄養環境、栄養状態が良好であれば同化・貯蔵に傾き、不良であれば、分解・異化に傾くと考えることが出来ます。

これを制御するのが、先述のmTORとグルココルチコイド受容体になります。

骨格筋においてこれらの物質はそれぞれ違う働きではあるものの、互いに影響しあっています。

mTORが良好な栄養状態を感知しているときにはエネルギー源の効率的な備蓄に貢献する一方、栄養状態の悪化に対してはほかの組織における需要をまかなうのに十分なエネルギー源を迅速に供給するという働きを担っているのです。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-22

    リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

    リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮しま…
  2. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  3. 2017-8-11

    アフォーダンスとカノニカルニューロン

    随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化したものであり、「目的」はそれを達成するための筋道を決…
  4. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  5. 2017-7-6

    鼠径部痛と内転筋損傷と恥骨炎

    鼠径部痛はスポーツ選手がよく訴える痛みの1つです。これらの痛みを訴える選手は、内転筋群の過緊…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2015-2-15

    サルコペニア対策は大丈夫?

    今日は加齢によって起こる「サルコペニア(加齢性筋萎縮症)」という問題について触れていきます。…
  2. 2014-10-1

    赤血球と貧血の関係性を考える。

    赤血球の中にはヘモグロビンがあり、これが酸素の受け渡しをする本体になります。「貧血」とは抹消血液の中…
  3. 2015-12-12

    身体活動は運動単位の性質を変えうる

    習慣的な身体活動レベルの変化は、運動単位の収縮の3つの性質、すなわち収縮速度、最大張力、疲労性に影響…
  4. 2017-2-22

    重要性と原則に照らしてトレーニング種目を配列する

    トレーニングは最初に行った種目の効果が一番大きくなり、後に行った種目ほど効果が小さくなります。…
  5. 2017-1-4

    トレーニングで筋肉のバランスを改善

    腰痛に悩まされている方で、マッサージに行くけどまた腰が痛くなるという方多いと思います。腰痛の…
ページ上部へ戻る