脂肪酸は脳の栄養である。

ヒトの必須脂肪酸は、リノール酸に代表されるω-6脂肪酸とα-リノレン酸に代表されるω-3脂肪酸になります。

リノール酸は、成長や生体内の生理活性に必須であり、α-リノレン酸は体内でエイコサペンタエン酸(EPA)を経てドコサヘキサエン酸(DHA)に変換されます。

この有名なDHAは脳神経、網膜などに高濃度に存在し、一定水準に保たれています。

しかし長期的にα-リノレン酸が欠乏すると、これらの組織のDHAが減少し、生体に変化をもたらすことが指摘されています。

例えば、ラットを用いた実験では、簡単な学習はできるものの、明暗の条件を識別する能力の低下や内容の伴わない行動を多発させるといった行動が多くなったと報告されています。

これはレバーを押せば餌が出るといった条件付けを用いた実験ですが、ある条件下においてレバーを押しても餌が出ないようにした場合でも、その行動が変容されなかったというものです。

これをヒトにそのまま当てはめることはできないのですが、ヒト未熟児においては学習能低下、サルやヒト乳児においてもDHA低下による網膜反射能の低下が見られたという報告もあります。

また、ω-6脂肪酸のひとつであるアラキドン酸も学習速度によい影響を与えること、そしてそれが脳内のアラキドン酸量と相関することが実験により示されました。

老化により減少した脳のアラキドン酸を、体外から摂取して補うことで、学習・記憶能力が高まること、認知応答の改善、抑うつ状態の改善が見られましたという報告も出ています。

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