筋繊維特性とトレーニング効果

骨格筋は主に遅筋線維、速筋線維の 2 つの線維から構成され、これらの線維が各々の筋ごとに一定の割合でモザイク状に配列している。

この中でも、遅筋線維は有酸素的なエネルギー発揮能力に優れ、収縮速度は遅いが疲労耐性が高いという特性を持つことから持久的な運動に適していると考えられている。

一方、速筋線維は無酸素的なエネルギー発揮能力に優れ、発揮する張力も高いことから瞬発的な運動に適した能力を持つと考えられている。

競技スポーツには、短距離のように瞬発力が求められる種目から、長距離のように持久力が必要とされる種目、さらにその両方が必要とされる混合型の種目もある。

従って、各種目に適した筋線維組成を獲得することがパフォーマンスを上げるための必要条件であると考えられる。

現時点では、陸上の短距離選手や長距離選手に認められるような非常に偏った筋線維組成は遺伝的要素が高いと考えられるが、骨格筋は運動トレーニングなど様々な環境因子に対し、後天的に筋線維タイプを変化させる可塑性・適応性を有している。
当たり前ではあるが、骨格筋は非常に可塑性に富んだ組織であり、その活動水準が増加すると肥大し、逆に低下すると細く萎縮する。

しかしながら、量的変化だけでなく、質的変化として筋線維タイプの変化が認められることも非常に重要なポイントになる。

有酸素性トレーニングによる持久力の向上は筋線維タイプの遅筋化だけでなく、ミトコンドリア量の増加や脂質酸化能の亢進などエネルギー産生効率の上昇も関与している。

近年、これらの変化が転写共役因子である PGC-1αによって制御されていることが明らかとなってきており、筋の収縮特性と代謝特性が密接に関連していることを示している。
実際に、肥満症患者の筋では酸化的代謝能の低下と解糖的代謝能の上昇が認められているが、同時に遅筋線維の割合低下も生じている。
それ故、筋線維タイプ組成の差が肥満の傾向度に影響している可能性も考えられている。

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