いいバッティングとは

バッティングといっても、いろいろな研究分野がありますが、大きく分けると「いいスイングする」ことと「ボールをバットに当てる」ことが大きな枠組みになると思います。

ボールを遠くに飛ばすにはやはり「スイングスピード」が大事になりますし、このあたりは「運動学」や「バイオメカ二クス」などの観点から様々な研究がなされています。

しかしながら、いくら「いいスイング」をしても「ボールにちゃんと当てなければ打てない」のがバッティングです。

このあたり、野球に限らず、テニスなどのラケット競技は同じことが言えると思います。

そこで今日は、いかにしてスイングをボールに当てるか、いわゆる「視る」という視点から考えてみます。

例えば、指導者に「もっと打つポイントを後ろに」とか「ひきつけて!」と指導された人もいれば、逆に「ポイントを前において前でさばけ!」と指導された人もいるかもしれません。

「ポイントを後ろにおく」ということは、ボールを呼び込むとか、ひきつけるという表現にもあるように、ボールをギリギリまで引き寄せることによって、その分長くボールをみることができ、情報をより多く得ることができるという利点があります。

ひつけて打てば、それだけボールから情報を得ることができ、十分に判断して打つことができるはずです。

しかし、実際にやってみると詰まってしまい打球が前に飛ばない、バットの芯で捉えることができない。

これはいったいどういうことでしょうか。

一つはバットのヘッドを加速させることがうまくできなくなってしまうことがあげられるでしょう。

ポイントを後ろにすると、その分バットの軌道も変わってしまいます。

今まで描いてきた軌道を描くことができず、全く別の動きとなってしまいます。

また、「視る」ことについても考えておかなければなりません。
打者は、投手の投球動作からしっかりとみています。
打者は、投手が振りかぶり、前足を踏み込んできてボールをリリースする動作の全体をみています。

そして、投手の指先から放たれたボールを追うことになります。

この放たれたボールを追うことについてですが、リリース直後は、単位時間当たりの視角は大きくはないのですが、ホームプレートに近づくにつれて単位時間当たりの視角は増します。

ボールをホームプレート付近まで視続けようとするならば、すばやい「追従眼球運動」が必要になると指摘されています。

しかし、ボールがホームプレートを通過するまで完全にボールを目で追従できているわけではありません。

一般に、ボールがホームプレート付近まで来ると打者からみた角速度が1000deg/s以上にも達するといわれ、それに対して、対象を追従できる眼球運動の最大速度は熟練者でも約120deg/sに過ぎないとされています。

したがって、ホームプレートを通過するボールを実際に目で追従し続けることは不可能であると述べられています。

実際の打撃においては、ボールをしっかりとみてボールの軌道を「予測」し、その軌道に合わせたミートポイントにバットを出していくという過程をたどります。

ポイントを後ろにおいてひきつける、あるいは、からだの近くでミートするということは、よりホームプレート付近にボールを呼び込むことになります。

したがって、前述したとおり、目で追従することはできないため、より「予測」が必要となります。

「最後までボールをみて振れ!」と指導が入ることがありますが、実際には本当に最後までは眼球運動では捉えきれてないんです!

「ボールが止まって見える」というのも実際の現象ではなく、脳が作り出しているイメージなのかもしれませんね。
このあたり、プロとアマチュアでの差が出るのかもしれません。

 

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