筋小胞体の機能低下による筋疲労とは

筋が発揮する張力は筋形質内の遊離Ca2+濃度により制御されています。

骨格筋では、筋小胞体がこのCa2+を調節しており、筋小胞体から筋へとCa2+が放出されると収縮が、筋から筋小胞体へとCa2+が取り込まれると弛緩が起こります。

筋小胞体の膜上に存在するタンパク質である筋小胞体Ca2+-ATPaseの酵素の作用によりCa2+の取り込みが能動的に行われます。

筋収縮を繰り返し、負荷をかけると、筋の発揮する張力やパワーはやがて低下し、筋疲労が起こります。

疲労困憊に至る運動後では、筋小胞体のCa2+放出・取り込み機能の低下が起こり、これが筋疲労の主要な原因の一つになります。

激しい筋活動によって筋小胞体によるCa2+取り込み機能が低下するのは、収縮に伴って発生する活性酸素種であるとされています。

運動強度が高い場合でも低い場合でも疲労困憊に至るまで運動を行うと、特に主動作筋において筋小胞体の機能が低下することが報告されています。

そのような運動では、筋内の無機リン酸濃度、ADP濃度、CK作動性低下が起こり、それらが起こると筋小胞体Ca2+-ATPaseの機能が変化すること知られており、これがCa2+取り込み機能の低下に繋がることが示唆されています。

また、Ca2+-ATPaseのATP結合部位そのものの構造的変化も機能低下を引き起こす要因の一つであると示されています。

これは活性酸素種によるもので、したがって、Ca2+-ATPaseタンパク質の酸化が起こるというものです。

しかし、高強度のトレーニングを続けることにより、こういったCa2+-ATPaseタンパク質の酸化、機能低下を軽減できる可能性があることが分かっています。

これは、筋細胞に含まれるCa2+-ATPaseタンパク質量が増加するためです。

また、Ca2+-ATPase活性の低下をある程度遅らせることができるため、特に運動終盤に役立つとされています。

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