インスリン分泌促進因子インクレチンと肥満の関係

インクレチンとは消化管ホルモンであるGIPとGLP-1の総称です。

これらは食事摂取に伴い効率よくインスリン分泌を促進する生体に備わった作用を担う内分泌物質で、膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を促進させます。

GIPは小腸上部のK細胞から分泌され、42個のアミノ酸からなり、GLP-1は小腸下部のL細胞から分泌され31個のアミノ酸からなります。

これらのホルモンの受容体は先の通り、膵臓のβ細胞に発現しており、さまざまな研究からインクレチンによるインスリン分泌は生理的であること、SU薬とは異なる機序でインスリン分泌を促進すること、グルコース濃度に依存した分泌作用があること、膵臓β細胞のアポトーシスの抑制、細胞増殖の促進作用があることなどがわかってきました。

また、GIPやGLP-1受容体は膵臓β細胞以外にあることも分かっています。

これらと膵臓β細胞にある受容体とでは違う発現をもたらし、例えば代謝関連でいうと、GLP-1は中枢神経系に作用し食欲低下、胃に作用し胃の運動の抑制させるため、エネルギーバランスは負に傾き、体重減少に働きかけます。

逆にGIPは脂肪細胞に作用し脂肪蓄積を促進するため、エネルギーバランスは正に傾き、体重は増加します。

摂取した脂肪はGIPシグナルがあると効率的に脂肪細胞に蓄積されますが、シグナルがない場合、脂肪細胞に蓄積されず、肝臓や骨格筋などでエネルギー源として消費されます。

高脂肪食摂取下でGIPシグナルを遮断すると血中アディポネクチン値が上昇し、末梢での脂肪燃焼を促進しているのではないかと考えられています。

したがってこのシグナル遮断する拮抗薬の開発が肥満やインスリン抵抗性改善に大いに役割を果たすことになるでしょう。

GLP-1は脳室内投与でも末梢投与でも食欲抑制効果があるとされています。

中枢神経で産生されたGLP-1が神経伝達物質または神経伝達調節因子として視床下部に作用、消化管など末梢で産生されたGLP-1が血液脳関門を通過し視床下部に作用、消化管など末梢で産生されたGLP-1が末梢の自律神経などに作用しその情報が視床下部に伝達される、といった機序が考えられます。

しかし、GIPとは違い、GLP-1受容体が欠損しても食欲増進することなく体重の増加も見られなかったといいます。

したがってこの働きを代償する何らかの機構が働いていると考えられます。

インクレチンをうまくコントロールすることが出来れば、長寿や肥満抑制も可能になりそうです。

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