肥満と神経ヒスタミン

ヒスタミンは広く知られているところで、花粉症のくしゃみなどアレルギー症状の原因になる物質です。

しかし脳の満腹中枢を刺激することで、食欲を抑制する側面も持っています。

また、神経ヒスタミンは、食行動調節、エネルギー代謝調節機能にも関わる物質であることが知られています。

ヒスタミンニューロンの細胞体は視床下部後部に位置する結節乳頭核に限局して存在します。

視床下部内では、満腹中枢である視床下部腹内側核や室傍核への投射が著明であり、同部のH1受容体を介して食行動を抑制性に調節しています。

視索前野との相互関連による体温調節、視交叉上核への投射による生体リズムの調節にも関与しています。

脳幹部では三叉神経中脳路核への投射が認められ、咀嚼機能への関与が認められます。

このことから咀嚼行動は、神経ヒスタミンを活性化させ満腹中枢を刺激し、食欲を抑制させる行動であることが分かります。

また孤束核への神経連絡は自律神経調節に関与していると考えられています。

ヒスタミン神経系への入力系としては、中脳から延髄に存在するノルアドレナリンやセロトニン神経系の細胞体からの神経投射があり、これらは神経ヒスタミンの覚醒レベルおよび睡眠調節機能に関係があります。

視床下部内では摂食行動や自律神経系の調節に関与している視床下部背内側核からの直接入力が証明されています。

これらの中枢からの入力はレプチンと神経ヒスタミンの機能連絡を考える上で重要になります。

また摂食調節計として重要なオレキシン受容体やメラノコルチン4受容体が神経ヒスタミンの起始核である結節乳頭核に存在しているという報告もあります。

ヒスタミン神経系は飢餓状態やインスリン誘発性低血糖で活性化されることから、エネルギー代謝動態と密接な関係があります。

低エネルギー状態で放出された神経ヒスタミンは副腎のカテコールアミン分泌を介して肝臓のグルコース放出を促進し、血糖値を上昇させます。

これはエネルギー欠乏次の脳などへのエネルギー供給系として働きます。

脳内局所において、神経ヒスタミンはグリコーゲン分解作用があり、これも脳局所のエネルギー供給に寄与することになります。

神経ヒスタミンは肥満というエネルギー過剰条件下で駆動され摂食抑制作用、脂肪分解作用、エネルギー消費亢進作用、生体のエネルギー代謝の恒常性維持に寄与していると考えられます。

肥満によってレプチン抵抗性がうまれると、視床下部での神経ヒスタミンの低下が明らかになっており、レプチン作用不全が起きているとしても神経ヒスタミンは摂食抑制、内臓脂肪減少、UCPファミリー発現亢進に有効であることも分かっています。

特に脂肪蓄積の減少やUCP発現亢進は食欲抑制作用とは独立して発揮されており、神経ヒスタミンの交感神経系活動促進作用の関与があるとされています。

ヒスタミンの末梢投与では、血液脳関門を通ることができないため、効果はありません。

ヒスタミンの前駆物質である必須アミノ酸のヒスチジンを積極的に摂取すべきでしょう。

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  1. 2017年 9月 29日

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