「腹部の警察」大網といわれる腹膜

胃の下側(大弯)から下方へエプロンのように腸の前に垂れ下がった腹膜を大網(だいもう)といいます。
大網は発生のはじめには薄く半透明な膜ですが、次第に膜の結合組織を走る血管を中心にして脂肪組織やリンパ球、形質細胞などが集まるため黄褐色を呈します。
この大網はお腹をパックリ開けたらまず見える器官で哺乳類独特な構造です。

実はこの大網は非常に大事な膜になります。
この大網は「腹部の警察官」という異名があります。

どういう事か?

大網は脂肪の貯蔵庫にもなっていますが、内臓が炎症や傷を負ったときに、大網が包帯のように患部を包み込んで、ため込んだ脂肪を利用してクッションの役割でその部位を保護したりします。
例えばこれは手術した後にも言えます。
手術をした後は患部を安静にして、傷口や炎症が他部位に波及しないように固定しなくてはなりませんが、この大網が包みこむように集まり炎症部位を保護してくれるのです。

さらに、この大網は強力な抗炎症作用と自淨作用をもっています。
だから、まだ大網が発達していない小児などでは炎症が腹腔内に波及しやすくなります。
この大網の働きがあるおかげで、傷口も安定して炎症も波及せず早期の治癒が期待できるのです。

人が亡くなった後、その人を解剖してみると上記の大網は胆のうに集中して集まっている人が多いということがわかっています。
つまり「腹部の警察官」である大網は、胆のうから自分の身体を守る為に、その臓器に集まって他部位に害が波及しないようにしていると考えられています。
これは胆のうから出る胆汁が発がん性の物質でもあるからのようです。
虫垂炎などのように、お腹の中に異物やバイ菌が入ってきたときにその場所まで伸びて行って包みこんで排除したりしている大網。
癌細胞も排除の対象になるべきものなので、この大網にも転移しやすいと言われています。
また、大網にマクロファージの巣(乳斑)があります。
このマクロファージは免疫細胞なので、マクロファージが異物やウイルスなどを退治するとも考えられます。。
ちなみに、内臓脂肪と言われるものの多くはこの大網に付着するといわれています。
手術などで大網を除去したら、内臓脂肪もガッツリと除去されるのかもしれませんね。

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