認知機能「学習と記憶」

認知機能とは、五感(視る、聴く、触る、嗅ぐ、味わう)を通じて外部から入ってきた情報から物事や自分の置かれている状況を認識したり、言葉を自由に操ったり、計算したり、何かを記憶したり学習したり、問題解決のために深く考えたりといった、いわば人の知的機能を総称した概念です。

学習や記憶は普段我々は無意識に行っているもので、学習と記憶とはなにか、と聞かれるととても曖昧なものです。

学習とは経験にもとづいて行動を変化させる、あるいは心の内的状態を変化させることになります。

学習には余剰学習、連合学習、結果学習の3つに分けられます。

余剰学習は無意味なことに反応しなくなることです。

たとえば農村に住んでいた人が初めて都会に出てくると騒音と人並みに驚きますが、じきに慣れて何も感じなくなることが余剰学習にあたります。

連合学習は、2つのものを関連させることを学習するものであり、パブロフの条件反射の実験がその代表です。

道を渡るときに左右を確認する、食事の際に箸やフォークを使うなどは、子どものころからの連合学習の結果だと言えるでしょう。

結果学習は、動物実験でいうと、ライトがついたときに素早くレバーを押すと電気ショックを回避することができる、道路の道順を覚えるとすみやかに餌を獲得できるなどの学習です。

私たちの勉強を例にしても、進級できる、試験に合格できる、昇進できるなどが報酬となり、留年する、試験に落第する、昇進を逃すなどが懲罰になっています。

 

記憶とは経験や学習した結果をある一定期間保持する機能です。

どのように記憶されるか、そのメカニズムはいまだ解明されていませんが、新しい神経回路のシナプス伝達の変化、シナプスにおけるチャネルの増加、新しいタンパク質の形成などが明らかになっており、これらが複雑に関連しあって記憶が形成されると考えられています。

記憶は大きく短期記憶と長期記憶に分けられます。

短期記憶には1秒以内に忘れてしまう感覚性記憶(たまたま目があった知らない人の顔など)と、感覚性記憶から転送されて数秒間保持される一次記憶(初めて聞いた電話番号に電話をかけるなど)とがあります。

一次記憶は反復・練習・長時間曝露(しばらくの間話しをした人の顔など)によって長期記憶である二次記憶に転送されます。

二次記憶は数分から数年間保持されますが、新しい情報などによってやがて忘却されます。

二次記憶はさらなる反復などによって一生忘却しない、三次記憶に変化します。

三次記憶とは自分の名前や日本列島のおおまかな形などです。

認知症では短期記憶や長期記憶への情報の転送が障害されるため、時、場所、自分が置かれている状況などを見当付けることができません。

一方で、三次記憶は障害されないため、昔のことはよく覚えています。

記憶と学習、まだまだ奥が深いものです。

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