下垂体前葉から分泌されるホルモン

脳下垂体は蝶形骨体のトルコ鞍上に乗っている長円体状の実質器官です。

前葉は胎生時に口腔粘膜の上皮から由来したもので、腺様の構造をしていることから腺下垂体とも呼ばれます。

前葉から分泌されるホルモンは、成長ホルモン(growth hormone:GH)、プロラクチン(prolactin:PRL)、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone:ACTH)、卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone:FSH)、黄体化ホルモン(luteinizing hormone:LH)の6種があります。

GHは、長骨の伸張を促進し、身体の成長を促します。

GHの分泌は思春期にピークとなりますが、成人になってもピーク時の1/3程度の分泌は続きます。

これはGHには成長促進以外にタンパク質の同化作用、糖や脂質の代謝に対する作用があるためです。

実際、発熱や外傷、手術、運動によりGHの分泌は増加します。

若年時にGHが過剰に分泌されると、非常に身長の高い巨人症になり、逆に分泌が不足すると成人になっても極めて背の低い下垂体性低身長症となります。

この場合、知能の発達は正常です。

また、思春期以後の骨端が閉鎖したあとにGHが過剰分泌されると、手足が肥大し、前額や顎が肥大して突出する先端巨大症になります。

TSHは、甲状腺に作用して甲状腺ホルモン(thyroid hormone:TH)であるトリヨードサイロニン(triiodothyronine:T3)とサイロキシン(thryoxin:T4)の分泌を促進します。

TSHは、視床脳前下底に位置する視床下部から分泌される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(thyrotropin releasing hormone:TRH)により分泌が促されます。

TSHは、THのネガティブフィードバックにより分泌が抑制されます。

THはまた、視床下部にも働きかけ、TRHの分泌も抑制します。

ACTHは、副腎皮質に作用して、副腎皮質ホルモン(corticosteroid hormone)である糖質コルチコイド(glucocorticoid)、電解質コルチコイド(mineralocorticoid)の分泌を促進します。

ACTHも副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(corticotropin releasing hormone:CRH)により分泌が促され、糖質コルチコイドのネガティブフィードバックにより分泌が抑制されます。

FSHは、下垂体前葉の性腺刺激ホルモン産生細胞で合成・分泌されます。

女性では卵胞の成熟を促し、男性では精子形成を促進します。

LHも下垂体前葉の性腺刺激ホルモン産生細胞から分泌されます。

女性では排卵を誘発するとともに排卵後の黄体形成を促進させます。

男性では男性ホルモンの分泌を促進させます。

FSHとLHを総称して性腺刺激ホルモンと呼びます。

PRLは主に下垂体前葉のプロラクチン分泌細胞から分泌され、乳汁の産生と分泌を促進させます。

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