表皮から真皮までえぐりとられてしまった皮膚全層におよぶ傷の時、まず開いた傷口から浸出液がでてきます。

それに伴い、傷口を塞ぐようにケラチノサイトが増殖し開いた部分に移動いてきます。

真皮についても繊維芽細胞(ファイブロブラスト)によるコラーゲンの新生が起きて、傷口は塞がれ、浸出液や死んだケラチノサイトが混ざって形成されているかさぶたの下に新しい角層ができ、かさぶたが剥がれて、元のきれいな皮膚に戻ります。

傷ができたとき、傷口は乾燥させるべきだ、というのが現在の考え方が主流です。

怪我をした際、絆創膏を貼るのは応急処置でしかありませんし、ぐちゃぐちゃになった絆創膏を貼り付けたままでは傷は治りません。

なぜなら傷の自己再生にも傷の周辺の物理的環境が影響しているからです。

これらの一連の傷の治ってゆく経過において傷口に滲み出す浸出液の組成、カルシウムとマグネシウムの量を測定し血清と比較すると、傷ができて出てくる浸出液はマグネシウムのカルシウムに対する比率が血清のそれより高くなっています。

その後傷が治るにしたがいマグネシウムの比率は低下し、傷が治ったころには血清におけるマグネシウム対カルシウム比は同じになっています。

傷が治るプロセスは、穴が開いた部分にケラチノサイトが移動してき、その穴を覆う作業することです。

培養しているケラチノサイトの培養液の中のマグネシウムのカルシウムに対する比率をあげてみるとケラチノサイトがぞろぞろ動き出すことがわかっています。

反対にカルシウムの濃度を上げるとケラチノサイトの移動がとまります。

つまり、傷ができるとそこから滲みだす浸出液の中のマグネシウムとカルシウムの比で傷を塞ぐ作業を進めたりストップさせたりしているのです。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-22

    リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

    リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮しま…
  2. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  3. 2017-8-11

    アフォーダンスとカノニカルニューロン

    随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化したものであり、「目的」はそれを達成するための筋道を決…
  4. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  5. 2017-7-18

    クレンチング(食いしばり)と運動の関係

    クレンチングとは、無意識的に上下の歯を強く噛みしめる動作をいいます。習慣化されたものはブラキ…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2016-4-25

    インスリンの過剰と代償機構

    インスリン過剰の結果みられる症状は、直接的であれ間接的であれ、すべて神経系に対する低血糖の効果の現れ…
  2. 2015-9-1

    コンパートメント症候群の急性症状と慢性症状

    コンパートメント症候群は、コンパートメント内の圧力が局所の動脈圧を超えた状態で発生し、筋および神経の…
  3. 2015-11-6

    運動時の循環血液量調節機構

    運動中には、運動強度に応じて心拍出量は増し、かつ活動筋に大量に血液が流れるようにその部位の血管は拡張…
  4. 2015-9-12

    免疫という生体システム

    免疫という生体システムは、自己と非自己を区別するシステムであります。無限に存在する非自己…
  5. 2014-10-27

    体幹の安定性

    本日は『体幹部の安定性』について考えてみましょう。体幹部を安定させるためには、3つの要素が関…
ページ上部へ戻る