多くの痛みは組織損傷がある部位に感じますが、痛みの原因となる部位と痛みを感じる部位が一致しない場合があります。

この患部から離れたところに感じる痛みを「関連痛」といいます。

私たちの脳の中には、体表の身体地図があり、体表に刺激を感じると、脳は身体地図と照合して感覚を定位します。

私たちは目を閉じていても、自分の鼻がどこにあり、左手がどこにあるかがわかります。

しかし、自分の肺や肝臓がどこにあるかはあまり意識することはありません。

脳内には明確な内蔵の地図がないので、内臓が損傷された時、どこが痛いのかを示すことが難しいです。

また、関連痛は内臓や筋肉などの深部組織が損傷された場合に生じることがあります。

関連痛のメカニズムとして広く知られているのが、「ルフの収束投射説」で、痛覚の伝道路の同一ニューロン群に、内臓の痛みを伝える神経線維と皮膚の痛みを伝える神経線維が収束しているために、関連痛が起こるというものです。

外界に接している皮膚は傷つく頻度が多いので、皮膚から送られてくるインパルスによって興奮した痛覚の伝道路の侵害受容ニューロンが伝える情報を受ける脳は、このニューロン群の活動を皮膚の痛みに結びつけることを学習しています。

たまたま内臓に異常が生じて、内臓からの痛みを伝えるインパルスがこれらのニューロン群を興奮させると、脳は過去の学習に基づいた判断を下し、このニューロン群にインパルスを送る皮膚に痛みが定位されるとしています。

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